2016 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of new antioxidant-based preservation solution in a rat kidney transplantation model
Project/Area Number |
15K20087
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 豊文 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90750894)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腎移植 / 臓器保存 / 虚血再灌流障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は新規臓器保存液SBI-Seiiku Ⅱ solution(SS-Ⅱ)を開発、マウス異所性心移植モデルにおいて、SS-Ⅱが一般的な心筋保存液であるHTK solutionと比較して、臓器保存後の虚血再灌流障害に伴う酸化ストレスを軽減し、移植心生着率を改善させることを報告した(Transplantation 2016,100:1032-1040)。本研究では臨床応用に向けて、ラット腎移植モデルでSS-Ⅱの有用性を検証した。腎移植領域で一般的に用いられている保存液はUW solutionである。そこでLewisラットを用いた同系腎移植モデルにおいて、UWもしくはSS-Ⅱに24時間保存したドナー腎を、左腎を摘除したレシピエントラットに同所性に移植した。残るレシピエントの右腎を移植と同時に摘除した場合、UW群(n=6)、SS-Ⅱ群(n=6)いずれも移植後6日間以内に腎不全ですべて死亡した。そこでレシピエント右腎を移植後7日目に摘除したところ、UW群(n=8)の75%のラットが60日以上生存した。一方、SS-Ⅱ群(n=8)は14日以内に全てのラットが死亡した。SS-Ⅱは高Na、低Kに設定していたが、腎移植領域でよく用いられるUWやユーロコリンズ液は低Na、高Kであることを踏まえ、SS-Ⅱの電解質濃度を腎臓用に調整を重ね、研究を進めた。しかし、本研究期間中にUWの腎生着率を凌ぐ新たなSS-Ⅱは作成できなかった。UWもしくはSS-Ⅱで24h保存した腎組織のHE染色を確認すると、UWと比較しSS-Ⅱで保存した腎組織は間質の浮腫が目立った。種々の抗酸化剤を含むSS-Ⅱは心筋保存には有用であったが、腎臓においてはUWに含まれる細胞膨張予防目的のラフィノースやペンタフラクション等が重要であることが考えられた。今後は細胞浮腫予防を念頭にSS-Ⅱの組成について再検討し、改良を進める予定である。
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