2015 Fiscal Year Research-status Report
microRNAをtargetとした腎癌の診断マーカーと薬剤感受性に関する研究
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15K20091
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岩本 秀人 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (80621010)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スニチニブ抵抗性株 / microarray |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究として予定していた「腎癌患者と良性腎腫瘍患者における血清中 microRNA 発現の網羅的解析」については、良性腎腫瘍(腎血管筋脂肪腫)患者が予定以上に集まらず、現在もサンプルを集積している最中である。 それと並行して、平成28年度の研究予定であった「ヒト腎癌細胞株での Sunitinib 感受性を決定する microRNA の同定」を予定より早めて開始した。6種類のヒト由来の腎癌細胞株を用いて、スニチニブ抵抗性株(IC50濃度でも安定して増殖する細胞株)の作成を試み、そのうち2種類においてスニチニブ抵抗性株の作成に成功した。さらに、これら2種の抵抗性株と感受性株(親株)を用いてmicroarrayを行い、microRNAの発現量を網羅的に解析することで、抵抗性株で有意に発現上昇または発現低下しているmicroRNAを複数同定した。さらに、これらのmicroRNAのうち、2種類の抵抗性株に共通した発現変化を示すmicroRNAを9個ピックアップした。それらをreal-time PCRで定量し、9個のうち7個のmicroRNAがmicroarrayの結果通りに、スニチニブ抵抗性株で発現上昇または低下していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「腎癌患者と良性腎腫瘍患者における血清中 microRNA 発現の網羅的解析」については予定通りにサンプルが集積できていないため、やや遅れている。しかし、「ヒト腎癌細胞株での Sunitinib 感受性を決定する microRNA の同定」については、ほぼ順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「microRNA の発現量調節による Sunitinib 感受性獲得の検証」を予定している。方法として、microRNAを搭載したレンチウイルスプラスミドベクターを用いて発現低下しているmicroRNAを過剰発現させる、またはsmall interfering RNAを用いて発現上昇しているmicroRNAを低下させることで、スニチニブ抵抗性株が元の感受性を取り戻すことを確認する実験を予定している。さらに、in vitroで得られた結果のin vivoへの応用として、実際に抵抗性株をマウス皮下に注射することでスニチニブ抵抗性モデルマウスを作成すること、今回発見したmicroRNAの発現量を調節することでスニチニブ感受性が得られることなどを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた「腎癌患者と良性腎腫瘍患者における血清中 microRNA 発現の網羅的解析」の研究が、サンプル集積不足のため開始できない状態にあるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定のサンプル数が集積されれば、「腎癌患者と良性腎腫瘍患者における血清中 microRNA 発現の網羅的解析」を開始する予定である。また、今後はマウスなどの動物を用いた実験を予定しているため、そちらにも使用予定である。
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