2015 Fiscal Year Research-status Report
亜系統マウスを用いた尿路結石抑制遺伝子Nntの同定と抑制メカニズムの解明
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15K20104
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
宇佐美 雅之 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30534755)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 尿路結石症 / 遺伝子解析 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
尿路結石症は多因子疾患であり、遺伝因子に環境因子が作用し発症している。私たちはこれまで尿路結石症モデルマウスの作成や、マウスが尿路結石形成に対し強い防御能をもつことを報告してきた。遺伝因子の研究には、近交系マウスが用いられることが多く、わずかな遺伝的差異が生じた亜系統の存在も報告されている。 本研究は、亜系統の遺伝学的な差による尿路結石形成への影響を検討することで、新たな尿路結石関連遺伝子の同定を行う。また、同定した疾患関連遺伝子の検討および機能解析を行い、尿路結石の新たな病態解明および治療・予防法の開発を目的とする。 平成27年度の成果として、1.C57BL/6亜系統であるB6JとB6Nに対し、グリオキシル酸80mg/kgを連日腹腔内投与した後、尿路結石形成量を偏光顕微鏡にて比較し、B6Jは有意に結石形成量が多いことを確認した。2.B6JとB6Nの亜系統間において、遺伝学的に差のある6遺伝子(Naaladl2、Aplp2、Lims1、Fgf14、Snap29、Nnt)について、腎における発現量を定量PCR法にて比較し、NntにおいてB6Jは有意に発現量が低下していることを確認した。3.亜系統マウスを用いた尿路結石モデルマウスを作成し、採取した腎をメタカンにより固定し、ROS assay kitを用いた免疫染色でのROS活性の検討を行った。4.尿路結石抑制遺伝子候補であるNntについて、遺伝子全長のクローニングを行った。5.亜系統マウスを用いた尿路結石抑制遺伝子の同定について、第103回日本泌尿器科学会総会および米国泌尿器科学会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Nnt遺伝子による尿路結石症への影響を、培養細胞を用いた手法にて検討を予定している。ヒト腎由来細胞株であるHK-2およびマウス腎由来細胞株であるM-1に対し、蛍光標識したシュウ酸カルシウム一水和物(COM)結晶を37℃にて20分間暴露させる方法にて、結晶付着率および培養液中のROS活性を検討する予定であった。ただし、今回研究を実施している中で、Nntクローニングベクターによる遺伝子過剰発現系による検討を追加したほうが望ましいと考えられ、遺伝子クローニングを優先した。遺伝子クローニングについては、B6JおよびB6N 亜系統マウスそれぞれのNnt遺伝子全長を、PCR法にて得ることとしたが、primerの設計がうまくいかずPCR productを得ることに難渋したため、そのほかの研究も含めて、進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Nnt遺伝子の全長クローニングを行うことができており、このベクターを用いて、今後の研究を進めていく予定である。当初は、培養細胞に対してCOM結晶を暴露させるのみにて、結晶付着率および培養液中のROS活性を検討する予定であったが、ベクターを培養細胞にトランスフェクションすることにより、Nntが過剰に発現した状態での変化を亜系統間の状況を再現して検討することが可能と考え、実行する予定である。また、Nnt遺伝子をsiRNAにて発現抑制した系での検討も予定しており、より詳細なNntと尿路結石症との関連を検討することが可能と考える。 Nntトランスジェニックマウスによる結石抑制機序の解明については、Nntクローニングベクターの作製には成功したものの、動物愛護の観点からin vitroでの研究を優先することとし、培養細胞などを用いた研究成果が確認できた後に行う方針とした。
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Research Products
(2 results)