2015 Fiscal Year Research-status Report
去勢抵抗性前立腺癌に対するDNA修復機構を標的とした新規治療戦略
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15K20108
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 裕章 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10598428)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 合成致死 / アポトーシス / DNA修復経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
当教室では去勢抵抗性前立腺癌細胞株であるC4-2をアンドロゲン除去下に培養し,C4-2に比し有意にドセタキセルに抵抗性を示すC4-2AT6細胞株を樹立した.去勢抵抗性前立腺癌は薬剤耐性機序を獲得していく中で後天的にDNA2本鎖修復を担うBRCA1/2機能不全と類似の病態を引き起こすと考えられている.BRCA1/2機能不全の状態においてはDNA1本鎖修復を担うPARP-1を阻害すると合成致死と呼ばれるアポトーシスの誘導が生じる性質に着目し,本研究ではPARP阻害剤を用いた去勢抵抗性前立腺癌の新規治療戦略を検討することを目的とする.はじめに去勢抵抗性前立腺癌の標準治療であるドセタキセルとPARP阻害剤の併用投与による抗腫瘍効果をIn vitroで検討した.C4-2AT6に対するドセタキセル単剤の抗腫瘍効果は濃度依存性であり,低濃度では十分な抗腫瘍効果が得られないが,PARP阻害剤を併用投与することで抗腫瘍効果が増強されることがWST assayにおいて示唆された.PARP阻害剤単剤での抗腫瘍効果は高濃度投与時にわずかに認める程度であった.同じ条件下でBrdU法を用いて細胞周期の変動を調べると2剤併用投与により著しく細胞周期が変動することが確認されたため,TUNEL法によりアポトーシスを評価したところ,核の断片化が生じ高い割合でアポトーシスが誘導されることが分かった.平成28年度にはIn vivoでの検討を行うとともにDNA修復機構を中心とした各シグナル伝達経路の相互作用をWestern-blot法,細胞蛍光免疫染色を用いて評価していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当教室で保有する前立腺癌細胞株を用いた研究は順調に進んでおり,研究の結果はおおむね仮説に従っている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は大別して下記2点につき検討していく. 1.In vitroの検討結果をもとに、In vivoにおけるPARP阻害剤の有用性を検討する. 2.DNA修復機構を中心とした各シグナル伝達経路の相互作用を検討する.
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