2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K20120
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
船水 文乃 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (50623766)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / NK細胞 / 生殖免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、子宮内膜症とNK細胞の機能(活性性レセプターNCR、サイトカイン産生)との関連を明らかにし、子宮内膜症の病態を解明することである。 今年度の研究実施計画は、末梢血・腹水・子宮内膜・内膜症嚢胞液中のNK細胞の活性化状態をみる目的で、NCR発現・サイトカイン産生を解明することであった。子宮内膜症での手術患者および子宮内膜症のない良性疾患での手術患者より末梢血・腹水を採取し、これらの解析を行った。その結果、腹水中のNK細胞のNKp46発現が子宮内膜症で低下していることが分かった。すなわち、子宮内膜症患者の腹水中のNK細胞の細胞傷害性が低下している可能性が考えられた。また、サイトカイン産生について、腹水中NK細胞のTNF-αおよびIFN-γ産生が子宮内膜症で増加していることが分かった。すなわち、子宮内膜症患者の腹水中では炎症状態が亢進しており、子宮内膜症細胞の増殖・血管新生を助長している可能性が考えられた。この解析結果について、日本生殖医学会、米国生殖免疫学会および日本エンドメトリオーシス学会にて報告した。 子宮内膜・内膜症嚢胞液中のNK細胞に関しては、検体量が少なく、まだ解析するに至っていない。 また、来年度の研究実施計画として、術前薬物療法を行った場合のNK細胞NCR発現、サイトカイン産生の変化について解明するということが挙げられる。今年度は、子宮内膜症の治療薬のひとつである低用量ピルを使用した場合の末梢血および腹水中のNK細胞のNCR発現、サイトカイン産生の変化について解析した。その結果、子宮内膜症で低下していたNKp46発現が低用量ピルを使用することで増加傾向にあることがわかった。これについても日本エンドメトリオーシス学会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮内膜症での手術患者および子宮内膜症のない良性疾患での手術患者より末梢血・腹水を採取し、NK細胞のNCR発現およびサイトカイン産生について解析を行うことができた。しかし、子宮内膜および内膜症性嚢胞液中のNK細胞の解析はまだ十分に行えなかった。 来年度の研究実施計画の一部であった、子宮内膜症の治療薬を使用した場合のNK細胞のNCR発現およびサイトカイン産生の変化についても解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜症手術患者について、術前に子宮内膜を採取するよう努める。また、手術時に内膜症性嚢胞液を穿刺・吸引した際には、その嚢胞液中のNK細胞の解析を行う。 手術後の変化をみるため、手術患者の末梢血のNK細胞を術後3カ月、6カ月、12カ月で解析を行う。 また、情報収集のため、積極的に学会参加をする。
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Causes of Carryover |
フローサイトメトリー測定データ解析用コンピュータとフローサイトメトリー測定データ解析用ソフトウェアドングルライセンスを購入予定であったが、本年度は購入しなかったため、次年度使用額が生じた。また、フローサイトメトリー用抗体についても予定より少なく購入したため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フローサイトメトリー測定データ解析用コンピュータとフローサイトメトリー測定データ解析用ソフトウェアドングルライセンスを購入し、解析に役立てる。 旅費に関しては研究成果発表のため、予定通り学会参加する。学会誌投稿のための投稿費、別刷等で使用する。
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