2016 Fiscal Year Annual Research Report
The functional analysis of Wilms' tumor 1 (WT1) variants in ovarian cancer
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15K20124
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山内 敬子 (漆山敬子) 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (00594318)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 薬剤耐性 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の実験結果からWT1 variantの発現と薬剤耐性との関連が低いことが明らかになった。そこで我々は、新たな薬剤耐性と関連する概念として小胞体ストレスに着目し、薬剤耐性との関連を検討した。小胞体ストレスとは、小胞体に何らかのストレスが負荷されて機能や恒常性が失われると変性した折りたたみ不全なタンパク質が蓄積することである。これらの状況を小胞体膜タンパク質が察知し、小胞体を起源とした核へ至るシグナル経路(小胞体ストレス応答:unfolded protein response (UPR))が活性化される。UPRは、細胞を危機的な状況から回避させる重要な応答システムであるが、何らかの強い、長時間に及ぶ負荷がかかることで小胞体機能喪失、多量の未熟タンパク質が蓄積、あるいは小胞体ストレス応答の異常活性化によって、細胞死誘導シグナルとして働く。我々は、癌細胞では抗がん薬に暴露されることで小胞体ストレス応答が働き、薬剤耐性の癌細胞では細胞死を回避しているのはないかと考え次の実験を行った。卵巣癌細胞株5種(RMG-1, Ovcar3, A2780, Caov3, SKOV3)と正常卵巣上皮不死化細胞株(VOSE)において小胞体ストレス分子シャペロン蛋白であるGRP78の発現を検討した。RMG-1、VOSEでは低発現であったが、その他の卵巣癌細胞株ではGRP78のbasalな発現を認めた。またUPRに関連するXBP-1蛋白の発現を検討したところ上記6種類すべての細胞で発現を認めた。さらにSKOV3に小胞体ストレス誘導剤を投与したところ細胞増殖が抑制された。これらの結果から小胞体ストレス誘導剤と既存の抗がん薬の併用作用を検討し、薬剤耐性のメカニズムの一つとして小胞体ストレスが関連しているか、今後も引き続き検討を行う予定である。
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