2015 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞による癌幹細胞モデルを活用した全く新しいdecoy 療法開発の試み
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15K20135
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
多賀谷 光 山梨大学, 総合研究部, 助教 (50418711)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 血中ヒトパピローマウイルスDNA / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、癌の再発および転移には癌幹細胞の存在が重要であることに着目し、癌幹細胞の特性解析により、新しい治療法や再発の診断法を模索するものである。初年度は、癌幹細胞モデルの特性解析を行うこととしていたが、臨床検体から選定した細胞は、継代を繰り返していく経過で性質に変化をきたし、癌幹細胞としての特性解析に関して安定したデータを得ることが困難であった。そこで、癌幹細胞候補となる細胞の収集方法について見直しが必要となった。癌が遠隔転移をきたすにあたっては血中に遊離した癌幹細胞がきっかけとなるため、血中の癌幹細胞の特性について解析することが重要であると考えた。これにあたっては、血中には様々な幹細胞が混在していることから、癌由来の細胞を同定するために、癌特異的な遺伝子を発現するものが適しており、子宮頸癌はその発生にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染と遺伝子のインテグレーションが必須とされていることから、末梢血中の子宮頸癌幹細胞は、幹細胞性質を有するとともに、HPV遺伝子を有するものとして、他の幹細胞と効率的に鑑別可能であると考えた。 従って、平成27年度は進行子宮頸癌患者の末梢血を用いて型特異的HPV DNAをreal time PCRにより検出することを試み、血中HPV DNA陽性細胞の検出手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、癌幹細胞候補となる細胞を得て特性解析が必要となるが、信頼できる癌幹細胞の選定方法について見直しが必要となった。平成27年度の研究により、末梢血中において、子宮頸癌特異的であるHPV DNAを発現する細胞の検出が可能となったため、今後は、この中から癌幹細胞性質を有する細胞の選出とその特性解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮頸癌患者における末梢血中HPV DNA陽性細胞の中から幹細胞性質を有する細胞を選別する手法を確立する。その特性を解析した上で、iPS細胞技術を用いた癌幹細胞モデルの調整を行い、decoy療法にふさわしいdecoy幹細胞の樹立を目指す。 また、子宮頸癌においては、HPV DNA陽性かつ幹細胞形質を有する細胞の検出感度を上げることは、再発予測のマーカーとしても有用となる可能性が期待でき、子宮頸癌患者の新しい管理方法の提唱につながるものと思われるため同時に検討していきたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度計画していた研究内容は一部見直しが必要となったため、予定していた解析全てを実施することができず、また、PCRについては所属教室所有の試薬を使用してきたため、当該年度の使用額が予定額を大幅に下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、臨床検体の数を増やしてPCRを繰り返すとともに、血中から癌幹細胞候補となる細胞を分離し、iPS細胞技術で作成した癌幹細胞モデルとともに、その特性解析を行っていくため、次年度使用額によりこれを行う。
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