2015 Fiscal Year Research-status Report
iTRAQ法を用いた網羅的膜蛋白質解析によるプラチナ耐性卵巣癌の新規治療法の樹立
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15K20142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松崎 慎哉 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (00467565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍 / プラチナ耐性卵巣癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
①網羅的蛋白質発現解析により同定されたプラチナ耐性卵巣癌において特異的に発現している候補蛋白質の臨床検体および細胞株における発現 膜蛋白質を解析するiTRAQ法による網羅的解析にて、プラチナ耐性卵巣癌に特異的に発現する蛋白質候補として、蛋白質Aと蛋白質Bを同定した。このうち蛋白質Aは、プラチナ耐性卵巣癌細胞株3株のうち、3株で発現を認めた。臨床検体における評価では20例の検体のうち、12例(66.7%)と発現を認めていた。 ②蛋白質Aの発現の子宮肉腫における役割の検討 蛋白質Aを発現するプラチナ耐性卵巣癌細胞株 A2780/cisRにおいて、蛋白質Aの発現をsiRNAを用いて抑制したところ、プラチナ耐性が有意に改善した(p<0.05)。これらのことから、プラチナ耐性卵巣癌において特異的に発現する蛋白質Aが、卵巣癌におけるプラチナ耐性獲得のメカニズムにおいて重要であることが示唆された。 ③蛋白質Aがプラチナ耐性卵巣癌において耐性獲得にどの様に働いているか プラチナ耐性卵巣癌細胞株であるA2780/cisRに対してsiRNAを用い蛋白質Aの発現を抑制した上で、アポトーシス関連蛋白であるCaspase3を評価したところ上昇を認めず、プラチナ耐性の改善はアポトーシスが誘導されたためでないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度計画はほぼ終了している。細胞接着・細胞間相互作用・細胞移動について評価を行っていないのは、蛋白質Aの抑制が非常に効果的にプラチナ耐性改善を示しており、こちらの機序解明を優先させるべきと考えられたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
蛋白質Aのプラチナ耐性に関わるメカニズムの解析 (1)蛋白質AのA2780親株において強制発現によるプラチナ耐性の変化(2)蛋白質Aの強制発現による蛋白質の発現の変化(3)卵巣癌における蛋白質Aの役割の検討(4)蛋白質Aとプラチナ耐性に関わるpathway解析(5)蛋白質Aに対する中和抗体の作成 蛋白質Aの発現抑制によるプラチナ耐性卵巣癌のプラチナ耐性の改善は既に証明できたが、逆に、蛋白質Aの強制発現による卵巣癌のプラチナ感受性の変化を検証する。またこれに伴うpathwayの変化等も解析する。 最後に、マウスを用いて、蛋白質Aに対する中和抗体の作成を試みる。中和抗体を作成できた場合、それを用いてマウスにおける子宮平滑筋肉腫細胞の増殖を抑制できるかを検討する。
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Causes of Carryover |
次年度も引き続き物品購入を行う予定であるため、少額の残高は使い切らず繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
子宮平滑筋肉腫細胞株における蛋白質Aの発現を減弱・増強させ、増殖の変化を観察する研究に必要な各種試薬を購入する予定である。さらに蛋白質Aに対する中和抗体の作成を計画しており、各種試薬を購入する。またマウスを用いた解析も行う予定であるため、マウスの購入とその管理に資金を要する。
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Research Products
(8 results)