2015 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症におけるケモカインシステムの分子病理学的研究
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15K20155
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
溝口 美佳 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (80647561)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / ケモカイン / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ケモカインシステムに着目し,子宮内膜症におけるケモカインの分子病態生理学的役割を解析している. まず最初にマウス子宮内膜症モデルを確立した.モデル作成方法は以下の通りである.ホルモン動態の差を無くすために卵巣摘出術をレシピエントとドナーマウスともに行った.エストロゲンを毎週投与し,ホルモン動態を同調させ,子宮内膜の肥厚を図った.卵巣摘出術の2週間後にドナーマウスから子宮を摘出し,内膜のみを剥離し,ドナーマウスの腹腔内に移植した.移植後も毎週エストロゲン投与を行い,4週間後に開腹し内膜症様病変と思われる嚢胞性病変が形成されていることを確認した. ヒト子宮内膜症で診断目的に行われるエストロゲン受容体(ER),プロゲステロン受容体(PR),CD10の免疫組織化学染色を行い陽性であったため,マウスモデルの病変は内膜症病変であると確認できた. 宿主におけるケモカインシステムの機能解析のため,遺伝子改変マウス(Ccl3-/-,Ccr1-/-,Ccr2-/-,Ccr5-/-,Cx3cr1-/-)と野生型(WT)マウスで子宮内膜症モデルを作成し,病変形成に差が有るのか,腹水や病変をサンプリングし,Real time(RT)-PCR法,免疫組織化学染色,ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法及びフローサイトメトリー法にて解析している過程である.これらの検討により,候補分子を特定し,阻害剤や中和抗体による治療効果の予備的検討も開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス子宮内膜症モデルを確立し,遺伝子改変マウスと野生型マウスの内膜症の発症・進展の検討もほぼ終了し,サンプルの免疫学的解析も当初の実験計画通りに順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究も鋭意継続しながら,サンプル解析を進め,中和抗体,阻害剤による治療効果の検討も継続する.またすでに本学倫理委員会の承認を得ているため,当初の実験計画に示す通り,当該医療機関において実施された手術により得られる臨床検体を用いて,子宮内膜症嚢胞(チョコレート嚢胞)におけるケモカインシステムの関与について,臨床的特徴と分子病理学的検討を行う予定である.
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Causes of Carryover |
今年度は免疫組織化学染色のためにパラフィン包埋組織ブロックの作成に専念していた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は統計学的処理のためにサンプル数を増やして追加の免疫組織科学染色を行う予定であるため,MASコート付きスライドガラスとカバーガラスの購入に充当する.
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