2015 Fiscal Year Research-status Report
体外受精が初期胚のゲノム・エピゲノムに与える影響の解析
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15K20157
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
久須美 真紀 国際医療福祉大学, 保健医療学部, その他 (70470002)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生殖補助医療 / 体外培養 / 絨毛 / SNPアレイ / DNAメチル化 / 多胎 |
Outline of Annual Research Achievements |
体外受精・胚移植など、生殖補助医療に関連した流産絨毛組織30例、夫婦血液30例、自然妊娠による流産絨毛組織11例、夫婦血液11例を収集した。SNPアレイであるIlluminaのInfinium CytoSNP-850Kを使用し、微細ゲノム構造解析を行った。主として染色体異常による流産であり、7割は染色体数的異常例であり、3割は染色体正常例の流産であった。流産原因は母体と胎児側と双方に可能性はあるが、染色体以外の胎児要因は明らかではないため、染色体正常流産例は次世代シークエンサーIllumina HiSeq2500を用いたwhole exome sequencingによる流産原因を特定する解析を行っている。 生殖補助医療に必須の胚の体外培養は、胚のエピゲノムが劇的に変化する初期胚発生時期に及ぶ。体外培養がエピゲノム、特にDNAメチル化に及ぼす影響を、これからの1年で調べる予定である。DNAメチル化解析は実験誤差が大きいため、同日に続けての解析が望ましいと考えられ、検体数が十分に集まった時点で解析を考えている。 さらに、ゲノム、エピゲノム解析から胚発生に重要と考えられる遺伝子発現を同定し、遺伝子発現解析も追加する予定である。 また、派生研究として、検体の中に特殊な多胎例がおり、胚盤胞移植による一絨毛膜性多胎発生に寄与する機構についての基礎的データを集積予定である。 安全な体外培養環境を模索するための基礎的研究と位置付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体回収に関してはほぼ予定通りである。自然妊娠群(対照群)がやや少ないので、今後より力を入れて回収する必要がある。解析に関してはメチル化解析が進行していないが、検体回収後にまとめて行う方針のため、今年度施行すれば問題ないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる検体回収と夏ごろにはメチル化解析を行う予定。 DNAのメチル化は流産週数や発生段階で異なると考えられ、研究所にある人工妊娠中絶のデータとの比較も必要だと考えている。また、母体血の混入のリスクを考え、クオリティーチェックも行う予定である。 染色体正常流産検体は全エクソン解析を両親ゲノムとのトリオで行うことで、新しい流産原因を特定できればと考えている。 安全な体外培養をめざし、一絨毛膜性要胎の検体はゲノム・エピゲノム・エクソームを調べ、単胎妊娠と比較によって多胎妊娠を引き起こすメカニズムの一因を検討したい。
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Causes of Carryover |
DNAメチル化解析が次年度となったため、必要経費が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
DNAメチル化解析は本年度にまとめて施行するため、研究に遅れは生じていない。さらにエクソーム解析など今後発生する検体解析用の試薬及び、今年度の研究成果の発表の旅費に申請したいと考えている。
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