2016 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAによる胎盤内鉄代謝の制御機構に関する研究
Project/Area Number |
15K20158
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
田丸 俊輔 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10647077)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 鉄代謝 / 低酸素環境 / 胎盤 / 絨毛細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧腎症や胎児発育不全の胎盤では、鉄代謝が大きく変化することが知られている。また、遺伝子発現の調節を行うマイクロRNA(miRNA)が、酸素濃度により胎盤で発現変動することが報告され、とりわけmiR-210は低酸素における遺伝子発現のkey regulatorとして注目されている。in silicoの解析では、miR-210が鉄代謝に関与するトランスフェリン受容体(TFRC)を標的遺伝子とする可能性が示唆されたため、これらに着目して本研究を進めた。 1.ヒト絨毛由来細胞株における低酸素環境でのmiR-210とTFRC遺伝子発現変動の検討 ヒト絨毛由来細胞株としてHTR-8/SVneoを用いた。同細胞株を2%と20%の酸素濃度条件下で培養し、発現変動を検討したところ、miR-210の発現は2%酸素濃度下で上昇し、TFRCの発現は低下した。次に絨毛癌細胞株のJAR細胞を用いて、同様の条件での検討を開始した。 2.miR-210の発現調節をしたヒト絨毛由来細胞株におけるTFRC遺伝子発現変動の検討 まずHTR-8/SVneoとJAR細胞を用いて、miR-210mimicおよびinhibitorを一過性にトランスフェクションするための条件を確立した。この条件下で、TFRCおよび鉄代謝関連遺伝子の発現変動の検討を開始した。 3.ヒト胎盤組織を用いた実験系の確立 妊娠満期のヒト胎盤を用いた研究に関してH27年度に院内IRBの承認が得られたため、合併症のない妊婦において症例の蓄積を進めた。H28年度は、細胞の単離・培養や免疫染色等の条件検討を進めたが、海外留学の機会を得たため年度途中で本研究は中断することとなった。留学終了後には、これまでに得られている知見を活かして、さらに本テーマの研究内容を発展させたいと考えている。
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