2015 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸癌の悪性形質に関与する転写因子HOXD9の機能解析と治療法の開発
Project/Area Number |
15K20159
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菅 裕佳子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40459558)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | HOXD9 / P53 / 子宮頸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度である平成27年度はHOXD9発現子宮頸癌細胞株を用いてHOXD9抑制実験を行った。準備実験として、HOXD9のsiRNAの選択、抑制方法を検討し、HOXD9抑制株として、Lentivirus感染によるshort hairpin HOXD9安定発現細胞株(shHOXD9)および対照としてshnegative細胞株(mock)を作出した。元の細胞株はHPV16型感染細胞株として、SiHaおよびSKG-3bを使用し、HPV非感染細胞株として、C33Aを用いた。 上記細胞株のうち、HOXD9抑制効率が70%以上のものを用いて、細胞周期の比較、細胞増殖に関する影響、およびP53発現量に関する影響を検討した。細胞周期について、mock群と比較して、shHOXD9群ではG2期の細胞が多く存在する傾向があり、死細胞分画が増加している傾向も認められた。細胞増殖に関する影響について、SiHaおよびSKG-3bにおいて、shHOXD9群では細胞数が減少する傾向が認められた。C33Aにおいて、mock群と比較して、shHOXD9群は有意に細胞増殖が抑制された。P53発現量について、RNA発現量はmock群と比較して有意な差は認められなかった。しかし、タンパク発現量において、shHOXD9群で明らかな発現量増加が認められた。 以上よりHOXD9を抑制することにより、HPVによるP53分解を抑制し、細胞のアポトーシスを誘導するものと考えられた。さらにC33Aにおいても、細胞増殖が抑制され、死細胞が増加したことについて、HOXD9は多くの細胞増殖機構に関与していることが考えられた。 現在はHPV18型細胞株についても同様の結果が得られるか検討中である。今後はP53分解に関与しているE6、E7発現量を検討し、マウスを用いた研究も予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HOXD9ががん細胞のアポトーシス抑制に関与していることが認められ、P53関連実験も順調に進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
P53分解に関与しているE6、E7発現量を検討し、P53増加の理由を探る。その他高リスク型HPV感染細胞株を用いて、同様の結果が得られるかを検討する。in vivo研究も視野に入れ、研究を進める。
|
Causes of Carryover |
計画していた学会発表をしなかったこと、および効率的な経費運用ができたためである。研究は順調に進捗している。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
HPVとHOXD9の発現を検討するため、E6,E7のP97プロモーターを有するルシフェラーゼアッセイのためにプラスミド作成に使用する。
|