2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸癌の悪性形質に関与する転写因子HOXD9の機能解析と治療法の開発
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15K20159
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菅 裕佳子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40459558)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | HOXD9 / 子宮頸癌 / P97プロモーター |
Outline of Annual Research Achievements |
HPV16型が感染している子宮頸癌細胞株SKG-1,SKG-3BにおいてHOXD9を抑制すると、E6/E7の発現が著明に抑制された。E6/E7はともにP97プロモーターで制御されている。このため、前年度で明らかとなったHOXD9の抑制によってP53タンパクの発現が増強するメカニズムとして、HOXD9がP97プロモーターに作用してE6/E7の発現を制御するのではないかと考えられた。HOXD9を抑制することによってP97プロモーターの活性が低下し、E6/E7の発現が低下することでP53の分解が抑制される、という仮説が成り立つ。この仮説を検証するため、P97プロモーターを導入したpGL3-P97を作成した。このプラスミドを用いてSiha株とSKG-3B株でluciferace assayを行ったところ、HOXD9を抑制することで、2つの細胞株ともに有意にP97プロモーターの活性が低下した。これらのことから、HOXD9がP97プロモーターを介してE6/E7の発現を制御し、子宮頸癌細胞の悪性化に関与することが明らかとなった。 また、最新のTAGAデータベースを用いて根治術を行った子宮頸癌IB1期の症例を対象として、HOXD9の発現量と臨床病理学的因子の関連を検討したところ、HOXD9の発現量とリンパ管侵襲およびリンパ節転移に有意な相関を認めた。すなわち、HOXD9が高発現している症例では、リンパ管侵襲の頻度が高く、リンパ節転移率も高い結果であった。この結果は、我々が以前おこなった検討と一致していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度明らかとなったHOXD9の抑制によってP53タンパクの発現量が増強するメカニズムの解明ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際にHOXD9がP97プロモーターと直接結合するかをChromatin immunoprecipitationによって検討する
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Causes of Carryover |
学会への参加をせず、旅費を使用しなかった。また、効率的に研究を推進できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Chromatin immunoprecipitation assayを行うために使用する。
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