2015 Fiscal Year Research-status Report
母体血mRNAを用いた血管新生関連因子の発現比較による胎盤機能不全の解明
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15K20162
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
竹中 慎 昭和大学, 医学部, 助教 (60515211)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧(GH)の症例数が我々の予測よりも少なかったため、胎盤機能不全以外の背景因子を取り除いた症例にて解析を行った。 妊娠初期の母体血漿中血管新生因子が正常高値血圧、肥満、陣痛の因子を除外したGH症例にも利用できるかを検討した。 2011-12年に出生したGH32例の内、妊娠19週までの平均血圧がsBP130以上もしくはdBP85以上の正常高値血圧、非妊娠時BMI25以上、陣痛後GH発症のいずれにも当てはまらない典型的なGH6症例(GH群)を抽出した。母体年齢、経産回数を1:9マッチさせたコントロール54例(CT群)を対象とした。TaqMan RT-PCR法でfms-related tyrosine kinase 1(Flt-1), Endoglin(Eng), Placental Growth Factor(PlGF)の各mRNA発現を定量して縦断的コホート解析を行いGH群とCT群を比較した。Flt-1では全ての三半期においてGH群がCT群に比して有意に高値であった(p<0.05)。第1三半期における10%偽陽性率での陽性的中率は33.3%であった。Engでは第3三半期においてGH群がCT群に比して有意に高値であった(p<0.05)。PlGFでは二群間に有意な差は認めなかった。 正常高値血圧、肥満、陣痛の因子を除外した妊娠高血圧での母体血漿中血管新生因子遺伝子の発現量はFlt-1においてコントロール群に比して有意に高値となり、PEにおいての先行研究と同様に発症前予知マーカーになると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検体を新たに1000名追加したが我々が想定した症例よりも、妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧の症例の頻度が少なかった。また当院での妊婦健診方法が変わり、シリーズでの検体の採取が以前より難しくなった。またエピゲノム解析での新規マーカーの抽出も遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧の症例を増やすため今年度前半に妊娠三半期の検体採取を追加する。また妊娠極初期での検体収集も開始する予定である。また胎児発育不全との関連も明らかとするためそれぞれの背景にてグルーピングを行う。後半には新規マーカーを追加して妊娠高血圧腎症と妊娠高血圧症の発症予知の解析と、妊娠極初期における発症予知マーカーの抽出を行う予定である。
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Causes of Carryover |
対象となる症例の頻度が予測よりも少なかったため、DNA抽出を行うことを延期した。そのため当初購入予定であった試薬の購入を行わなかった。また学会発表も延期したため旅費を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に行う予定だったDNA抽出を今年度行うため予定の二年間分の試薬購入を行う。また本年度は成果の発表を行う予定である。
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