2015 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴うコンドロイチン硫酸の減少による多核割球形成機構の解析
Project/Area Number |
15K20170
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 伴 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (90443126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 着床前胚 / コンドロイチン硫酸 / ライブイメージング / 多核割球 / 卵割 / 不妊治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢の不妊患者の生殖補助医療後の胚では、多核割球が高頻度に形成され妊孕性低下の原因となっている。しかし、その形成機序には不明な点が多く、また回避策として有効な手段も確立されていない。多核割球の形成機序を解明するために以下の二つの研究に着目した。①コンドロイチン硫酸(CS)鎖の欠損胚では多核割球が形成され、さらに生体内においても骨格筋の分化過程でCS鎖の減少が多核化・融合の過程に重要である。②加齢に伴うCS鎖の減少が、加齢疾患の原因となっている。本申請では、以上の二つの研究を基盤とし融合することで、加齢によるCS鎖の減少が多核割球形成の原因となっているという仮説を提唱し、検証している。 研究開始当初、候補として想定していたプロテオグリカン(PG)は、分裂最終段階に着床前胚においてCSとは異なる局在を示したことから、新規候補を探索する必要性が生じた。データベースを用いた解析によって、新たにタンパク質を選抜し、それぞれの候補タンパクについて検討を行ったところ、CSの局在と同様の局在を示すCSPGの同定に成功している。これまでに、当該CSPGと蛍光タンパク質との融合タンパク質のmRNA作製し、マウス着床前胚へマイクロインジェクション法によってマウス着床前胚に導入し、タイムラプス観察を行った。その結果、当該CSPGは卵割に伴って分裂溝へ集積し、細胞質分裂の最終段階において細胞間架橋の中央体に集積することを明らかにした。さらに、細胞質分裂の最終段階で細胞間の脱離を担う細胞質分裂関連因子について免疫蛍光染色法を試みた。その結果、細胞質分裂の最終段階を制御する複数のタンパク質が、CS鎖欠損胚で局在が変化していることが明らかとなった。以上のことから、当該CSPGが細胞質分裂最終段階の制御タンパク質の局在に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画以上の進展があった。変異体の構築をすませ、次年度に計画していた、コンドロイチン硫酸欠損胚へのマイクロインジェクション法を用いた変異体mRNAの導入もすでに半分程度が終了し、結果を得ている。今後、これらの残りの変異体についても解析を進め、結果を総括し、論文としてまとめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究機関の異動に伴って、研究停止期間が生じてたが、初年度の研究が順調に進行したため影響は少ない。今後は、不足しているデータについて、前所属の共同研究者との相談の上、協力し円滑に研究を遂行したいと考えている。
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