2017 Fiscal Year Research-status Report
TS細胞を用いた、β-cateninの胎盤形成に果たす役割に関する研究
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15K20171
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
上條 慎太郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, リサーチアソシエイト (70570878)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 奇形腫 / 胚細胞腫瘍 / βカテニン |
Outline of Annual Research Achievements |
β-cateninが幹細胞においては多分化能獲得に必須であり、栄養膜細胞系列では胎盤形成と着床維持に関与していることが推察される。この機能について、胎盤を構成する栄養膜細胞系列の幹細胞であるTS細胞を用いて詳細に解析することにより、発生学や生殖医療の発展向上を目指した基礎研究として貢献し、その成果の臨床への応用を目指す。 マウス胚においてβ-cateninをノックアウトすると三胚葉への分化運命が決定する原腸形成期(胎生6.5日目)に胚致死となる。そのため我々はコンディショナルノックアウト法を用いてβ-catenin-KO-ES細胞の樹立に成功した。さらに今回、β-catenin-KO-TS細胞を樹立し、β-cateninが胎盤形成や着床維持においてどのような役割を果たしているかを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
β-catenin-KO-TS細胞は樹立効率が極めて悪く、1年以上の施行においても2株のみしか樹立できておらず、TS細胞の樹立にはβ-cateninが必要である可能性が示唆される。そこで、WT胚とβ-catenin-KO胚のRNA発現解析を行い、β-cateninが胚盤胞の分化において果たす役割を解析している。 また新たなβ-catenin-KO胚の性質として、in vitroでの胚盤胞形成率の低下が見出されており、in vivoとin vitroの桑実胚におけるRNA発現解析を施行し、培養環境がβ-catenin機能に及ぼす影響について検討し、β-cateninの胚発生に関わる機能解析をすると共に、発生不良胚の培養環境の改善に繋がる知見を見出すことを目標とする。
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Strategy for Future Research Activity |
Wnt/β-cateninシグナル伝達系は、接着や細胞増殖および癌化に関わる経路であり、クラスタリングやPathway解析により発現様式を同じくする遺伝子群をとらえて、それらのプロモーター領域も含めて解析する。さらに、他動物のorthologue発現データとの連鎖解析など、新たな多元的解析も加える。
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Causes of Carryover |
試薬の納期が遅れたため、残金が発生したが、次年度試薬の購入に充当する。
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