2015 Fiscal Year Research-status Report
後鼻神経切断術モデルラットを用いたアレルギー性鼻炎における神経制御の解析
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15K20185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西嶌 大宣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50704938)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 後鼻神経切断術 / アレルギー性鼻炎 / 血管運動性鼻炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究ではアレルギー性鼻炎および本態性鼻炎の病態において神経制御の果たす役割を解析し、鼻炎の治療法の進歩に寄与することが本研究の目的である。特に申請者が確立した後鼻神経切断術のモデル動物を用いて、鼻粘膜における支配神経の切断が鼻炎の病態や鼻粘膜組織、鼻汁分泌に及ぼす影響を組織学的、分子生物学的に検討した。 我々はこれまでにこの後鼻神経切断モデルラットの検討で、後鼻神経切断後の鼻粘膜呼吸上皮における神経線維の消失と神経ペプチドの消失を確認している。また後鼻神経切断側ではアセチルコリンの消失により鼻汁分泌が低下すること、後鼻神経切断術がアレルギーモデルラットの過敏症には効果がないことを確認している。 本年度は後鼻神経切断後の鼻粘膜呼吸上皮における遺伝子発現の網羅的検討を行い、後鼻神経切断術が鼻粘膜へ及ぼす影響に関して検討した。後鼻神経切断後2週間のラット鼻腔呼吸上皮粘膜からRNAを抽出後、DNAマイクロアレイによる遺伝子の網羅的発現解析を行い、正常鼻粘膜群との比較検討を行った。後鼻神経切断群では神経の伝達や分化に関する遺伝子群が有意に変動してていた。Gene Ontology解析では、鼻粘膜支配神経切断後の神経の変性および再生や、支配神経切断後粘膜における炎症変化を示唆する結果が得られた。後鼻神経切断後の長期変化では、鼻粘膜呼吸上皮のリモデリング様の変化を認めていたが、この変化の手掛かりとなるような遺伝子の変動も示唆する所見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年後には予定していたマイロアレイによる検討を行い、神経切断の背後のメカニズムを検討した。研究目標はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これらの遺伝子発現の変化は、後鼻神経切断術後の組織変化の鍵となる分子メカニズムである可能性があり、今後は詳細に検討していく予定である。またその他の実験計画の項目に関しても検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
遺伝子の網羅的解析に時間がかかり、その後の計画であるmRNAの変化や、蛋白レベルでの変化を確認するには至らなかった。これらの抗体等の費用が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子解析の結果をもとにreal time PCRでの再確認や、免疫染色などと行っていく予定である。これらの抗体や試薬の購入に必要となる見込みである。
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