2018 Fiscal Year Annual Research Report
Enhancement of antitumor effect of micelle-incorporated anticancer drug by high concentration NaCl
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15K20191
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上野 貴雄 金沢大学, 附属病院, 助教 (30623649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 抗癌剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在のところ、頭頸部癌においてシスプラチンを凌駕する抗がん剤や分子標的薬、免疫治療薬はない。このシスプラチンの副作用軽減と効果を増強する方法を検討することが、癌の治癒率を高めるために重要である。その一つとしてシスプラチンのミセル化がある。これまでの研究からシスプラチンはミセル化することで、腫瘍内濃度の上昇し、最大の有害事象である腎障害が軽減されることがわかった。さらに抗腫瘍効果を高める方法を検討することは重要である。 ミセル化シスプラチンはミセルが崩壊することで、内包するシスプラチンが放出され、抗腫瘍効果を発揮する。ミセル化により血中の安定性が向上し、EPR効果で腫瘍内濃度は高まるが、集積効果に比して抗腫瘍効果の上昇が少ない。ミセル化薬剤は一種の徐放性の薬剤であり、内部の抗がん剤を一気に放出させることができれば、抗腫瘍効果が高まるのではないかと考えた。 そこで、ミセルは塩化物イオン濃度が高いほど、溶液の温度が高いほど崩壊しやすい点に着目した。高濃度NaClの併用投与は、頭頸部癌のCell line(OSC-19、OSC-20)では抗腫瘍効果が高まる結果が得られたが、舌癌OSC-19の同所性移植である舌移植モデルマウスでは有意な結果が得られなかった。この原因としては、静脈投与では腫瘍局所において、十分なNaCl濃度を得られず、副作用増強が示唆された。また、動脈内投与においてはFirst pass effectでは不十分であることが考えられた。
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