2016 Fiscal Year Research-status Report
低侵襲人工内耳手術が前庭機能に及ぼす影響に関する研究
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15K20198
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塚田 景大 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (90419375)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工内耳 / 平衡機能 / 低侵襲手術 / VEMP |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、人工内耳手術症例の平衡機能の評価を行うことにより内耳保護のための手術方法や電極の改良が末梢前庭器の保護のとなりうるかに関して評価、検討を行った。 特に今年度は、小児人工内耳症例における術後の平衡機能を検討した。人工内耳は、先天性高度難聴小児の言語獲得に非常に有用であることは既知の事実である。小児においては音声言語の獲得や音声によるコミュニケーションをよりよくするために、早期より人工内耳を装用することが重要であり、両耳装用が望ましい。人工内耳手術においては前庭機能障害に注意が必要であり、特に小児の場合、両耳装用を行う症例が多いため、平衡機能を把握および保存することは非常に重要である。幼小児では術前に平衡機能を検索するのは困難であるのが実情だが、同時に人工内耳術後の小児がどのような平衡機能を有しているか把握することも重要であると考えられる。今回、我々は小児期に人工内耳手術を行った症例の前庭機能について評価し、過去の人工内耳手術後がどの程度前庭機能に影響を及ぼしたかを検討した。 具体的には、6歳以下で人工内耳手術を行った20例に対して術後前庭機能を温度眼振検査、cVEMP、oVEMPを用いて評価を行った。その結果、温度眼振検査およびoVEMPでは人工内耳側のみの明らかな機能低下を認める症例はそれぞれ1例に認めるのみであったが、cVEMPでは半数以上に反応の喪失もしくは減弱を認め、特にcochleostomyを行った症例はRound window approachを行った症例と比較し有意に機能低下を示した症例が多かった。これらの結果を踏まえ両耳装用を基本とする小児に対しては、特に機能温存を考慮した低侵襲手術の重要性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児、成人共に人工内耳装用前および人工内耳装用後の前提機能検査(温度眼振検査、cVEMP、oVEMP)データ集積は順調に進んでおり、今後さらに解析を続けていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの検討により人工内耳装用前、装用後のデータ集積がなされており、手術手技(cochleostomyかRound window approachか)、電極の種類、難聴の原因毎に比較検討を行う。また、小児の術前の前庭機能検査についていかにして評価をするかを検討する必要があり、その方策について検索中である。
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