2016 Fiscal Year Research-status Report
好酸球と線維芽細胞の相互作用に注目した好酸球性鼻副鼻腔炎の病態解明
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15K20200
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安岡 公美子 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80711837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / 好酸球 / 線維芽細胞 / 凝固因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 鼻茸線維芽細胞と好酸球との共培養 前年度は好酸球性細胞株を用いたが、今年度は末梢血から好酸球を分離し、共培養に用いた。鼻茸線維芽細胞と末梢血好酸球との共培養では上清中のIL-6、IL-8、Eotaxin-1、RANTES濃度がそれぞれ上昇することが明らかとなった。好酸球は鼻茸線維芽細胞からのIL-6、IL-8、Eotaxin-1、RANTES産生を促すことによって、鼻粘膜局所にさらに好酸球や好中球といった炎症細胞の浸潤を促進させる可能性があると思われた。 2) 凝固因子トロンビン、活性化第Ⅹ因子の鼻茸線維芽細胞に対する作用 組織学的検討から好酸球性副鼻腔炎に浸潤する好酸球は凝固系の開始蛋白である組織因子を豊富に発現していることがわかった。浸潤する好酸球を起点に凝固系が活性化されると活性化凝固因子が線維芽細胞に作用する可能性があると考えた。トロンビンや活性化第Ⅹ因子刺激によって鼻茸線維芽細胞の上清中のFibronectin、TGF-alpha、Eotaxin-1、RANTES、IL-6、IL-8濃度がそれぞれ上昇することがわかった。トロンビンや活性化第Ⅹ因子はprotease-activated receptors (PARs)を介して作用するため、線維芽細胞がPAR-1からPAR-4までの4つの受容体を発現していることを、蛍光免疫染色とRT-PCR法で確認した。4つの受容体のアゴニストペプチドを用いて鼻茸繊維芽細胞を刺激すると、主にPAR-1、PAR-2刺激で各因子の濃度が上昇した。PAR-4刺激では上清中の各因子の濃度は変化しなかった。以上から、鼻粘膜に浸潤する好酸球を起点とした凝固系の活性化は、PARsを介して粘膜の線維芽細胞に作用し、細胞外マトリックスの沈着や好酸球の浸潤をさらに誘発することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鼻茸線維芽細胞と好酸球の相互作用については、昨年度の好酸球性細胞株に加えて、末梢血好酸球を用いて検討し、関連する因子を同定することができた。凝固因子との関連については鼻茸繊維芽細胞上のレセプターの発現を確認し、各レセプターアゴニストペプチドの作用について検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 末梢血好酸球と鼻茸繊維芽細胞の共培養で上昇した因子を指標に、好酸球と線維芽細胞の相互作用のメカニズムについてさらに検討を行う。 2) 細胞間相互作用の抑制あるいは凝固因子刺激の抑制を指標に新たなターゲットを決定し、ラット鼻炎モデルを用いて有効性を確認していく。
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[Journal Article] Thrombin and Activated coagulation factor x stimulate the release of cytokines and fibronectin from Nasal polyp fibroblasts via protease-activated receptors.2017
Author(s)
Shimizu, S., Tojima, I., Takezawa, K., Matsumoto, K., Kouzaki, H., Shimizu, T.
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Journal Title
American Journal of Rhinology and Allergy
Volume: 31
Pages: e13-e18
DOI
Peer Reviewed