2016 Fiscal Year Research-status Report
新規経口免疫寛容剤を用いたスギ花粉症に対する2重盲検ランダム化比較試験
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15K20211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 大輔 九州大学, 大学病院, 助教 (80568965)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 花粉症 / 経口免疫療法 / アレルギー性鼻炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続いて新規経口免疫寛容剤(スギ抗原-ガラクトマンナン複合体)を用いたスギ花粉症に対する2重盲検ランダム化比較試験のデータ解析を行った。新しい知見として今回の臨床試験のoutcomeには含まれていないがサブ解析の結果プラセボ投与群と比較して実薬群では例年の飛散期全般の症状との比較し、有意に症状が改善し、また有害事象についても詳細に検討を行った結果有害事象の発生頻度はプラセボ群と比較して差はないが投与1週間までの胃腸障害に関してはプラセボ群と比較して有意に実薬群で発生率が高く、新規経口免疫寛容剤(スギ抗原-ガラクトマンナン複合体)特有の有害事象の可能性であることが示唆された。また今回の臨床試験の結果をもとに、より検証的な第Ⅲ試験を模索する上でprimary outcomeにおいて統計学的に有意差がでると考えられる被験者総数を統計学的に算出した。結果としては統計学的にprimary outcomeが有意差となるにはおおよそ300人の被験者が必要であった。今後より精度の高い大規模臨床試験が実施できるように花粉症に対する新しい免疫療法としての可能性が示唆された今回の臨床試験の結果を論文発表、プレスリリースやホームページ上で広報し、臨床試験遂行にあたっての予算獲得や組織づくりを模索していく方針である。また今回の臨床試験によって経口投与での花粉症状への抑制効果が示唆されたため、別の投与ルートとして経鼻投与での免疫療法も模索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
いままでの免疫療法(皮下免疫療法、舌下免疫療法)と比較して約2か月間の短期間のプロトコールではあるが新規経口免疫療法併用することで花粉飛散期中の薬物使用スコア(抗ヒスタミン剤や点鼻ステロイド薬の使用)を有意に軽減でき(約60%減少)、免疫療法として安全性も高く有用であることと今回の新しい知見をデータとして加えて論文投稿を行い、オンラインジャーナルであるScientific Reportsにアクセプトされ現在オンラインでの掲載待ちの状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
論文がオンライン上で公開されるタイミングで本試験の結果のプレスリリースを行う。さらにホームページ上に臨床試験の結果を掲載し、検証的な第Ⅲ試験を模索するためさらなる予算獲得や共同研究機関の募集を行い他施設での研究を目指し組織づくりを行っていく。 また今回の臨床試験によって経口投与での花粉症状への抑制効果が示唆されたため、別の投与ルートとして経鼻投与での免疫療法も模索していく。経鼻投与は経口投与と比較して抗原量が数十分の1と少ない量で効果が期待できる。これまで実際にヒトの鼻腔に対してスギ抗原-ガラクトマンナン複合体を投与しその効果を検討した研究はしていないためまずは花粉症マウスモデルを用いて経鼻投与のモデルを作成し、その症状抑制効果について検討を行い、効果が見込まれるようであればヒトに対する経鼻投与での臨床試験を検討す
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Causes of Carryover |
論文のアクセプトが予定より遅れたため広報のために使用する予算の支出が出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年4月中には論文がオンラインで公開されるため今年度の予算に、当初の見込んでいた研究成果の広報のための予算を繰り越し使用する。
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