2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel treatment to radiological salivary gland dysfunction
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15K20212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古後 龍之介 九州大学, 大学病院, その他 (90529885)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線正唾液腺障害 / rapamycin |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌治療において化学放射線療法は外科的治療とならぶ強力な治療法である。しかしながら、放射線性唾液腺障害や粘膜障害は頭頸部癌患者の治療後の著しいQOLの低下をきたす。我々は放射線性唾液腺障害の予防薬として転移・再発腎癌では臨床応用されているmTOR阻害剤、rapamycinに注目した。rapamycinは細胞内活性酸素産生を抑制することが知られており、放射線生唾液腺障害の一因である活性酸素の産生を抑制することで唾液腺細胞のアポトーシスを抑制する可能性がある。研究はin vitroで正常唾液腺細胞株Hs917.T、HSGと舌癌細胞株SCC9を用いて、rapamycinの効果を確認した。これらの細胞にrapamycinを投与し、正常唾液腺細胞のアポトーシス抑制効果、ひいては細胞内活性酸素の抑制効果と舌癌細胞株の細胞増殖抑制効果を確認した。至適投与量の設定や細胞増殖抑制効果についてはMTS assay、clonogenic assayを用いた。また、アポトーシス抑制効果についてはAnnexin-PI assayを行った。アポトーシス抑制効果の原因となりうる細胞内活性酸素の抑制効果はDCF-DA assayを行い、フローサイトメトリーを用いて解析した。舌癌細胞株に比べ、正常唾液腺細胞株はアポトーシスや細胞内活性酸素の産生が有意に抑制された。また、舌癌細胞株の細胞増殖抑制効果を確認した。これにより、正常唾液腺細胞は化学療法や放射線療法に対して、rapamycin投与によるアポトーシス抑制効果、ひいては放射線性唾液腺障害の予防効果がある可能性が示唆された。また、rapamycinは舌癌治療においても有用な薬剤であることが確認された。
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