2015 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌におけるCOX-2発現解析と抗癌剤耐性メカニズムの解明
Project/Area Number |
15K20225
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡部 佳弘 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (30445374)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | COX2 / 頭頸部癌 / 経口切除 / ELPS / TOVS / 下咽頭顔 / 中咽頭顔 |
Outline of Annual Research Achievements |
COX-2は癌の発生と進行に多彩な役割を果たしており、近年、薬剤耐性にも関わることが分かってきている。COX-2 は多剤耐性に関わるMDR-1発現をコントロールし、このMDR-1により細胞内の薬剤排出が行われている。頭頸部癌治療における化学療法は、放射線との併用により良好な臓器温存および生存率を示し、また再発・切除不能例の選択肢には生物学的製剤との併用でも優れた効果を示していが、頻回の治療に伴う耐性化やその治療に抵抗する腫瘍についてのメカニズムは解明されていない。本研究は頭頸部癌における薬剤耐性についてのCOX-2, MDR-1の役割を解明し、化学療法抵抗性の頭頸部癌の新規治療の確立を目指すことが目的である。頭頸部癌におけるCOX-2発現の免疫組織学的な評価を行った。2007年から2013年までに慶應義塾大学耳鼻咽喉科にて下咽頭癌に対して経口的下咽頭切除を行った58症例ついてCOX-2の免疫染色を行った。COX-2発現について評価した。それら結果と臨床データと比較し、COX-2発現が化学療法の奏効率、ステージや予後に与える影響を評価した。頭頸部癌細胞株による検討を行った。 当科で所有している頭頸部癌細胞株(FaDu, bicr6, Detroit 562)についてCOX-2の発現を定量した。各細胞からmRNAを抽出し定量的PCRで遺伝子レベルで評価した。選択的COX-2阻害薬celecoxibが頭頸部細胞株に与える影響について検討を行った。これによりCOX-2阻害による抗癌剤感受性の変化について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2007年から2013年までに慶應義塾大学耳鼻咽喉科にて下咽頭癌に対して経口的下咽頭切除を行った58症例のCOX-2、E-cadherinの免疫染色を行った。その結果と臨床データと比較し、COX-2、E-cadherin発現が化学療法の奏効率、ステージや予後に与える影響を明らかにすることができた。頭頸部癌細胞株(FaDu, bicr6, Detroit 562)についてCOX-2、E-cadherin発現を定量した。各細胞からmRNAを抽出し定量的PCRで遺伝子レベルで評価した。選択的COX-2阻害薬celecoxibが頭頸部細胞株に与える影響について検討を行った。これによりCOX-2阻害による抗癌剤感受性の変化について検討を行った。さらに、COX-2の下流のシグナル伝達であるPGE2レセプターであるEP2阻害剤も用いてE-cadherinの発現評価も行った。頭頸部癌細胞株におけるcetuximab、cisplatin、docetaxelの抗癌剤に対する感受性評価は、抗癌剤の指摘濃度での培養が困難であり、未だに抗癌剤の指摘濃度での癌細胞株の培養が滞っている。しかし、COX-2の下流のシグナル伝達阻害であるEP2阻害によりE-cadherin発現増強の結果を得た。頭頸部癌の転移のメカニズムに関する新たなデータを示せた。そのため、概ね順調に進展してる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行する上での具体的な工夫:モデル細胞、刺激及び阻害に用いる物質、発現変化が予測されるeffector分子、細胞表現型の評価項目とその手法について、各々代替候補を予め考案し、予備実験を並行して準備している。免疫染色装置、定量PCRなどは慶應義塾大学医学部総合医学研究センター共同利用研究室の機器を常時使用し、かつ技術的支援を受けている。 研究計画を遂行するための研究体制について:申請者が中心となり実験の計画・遂行・結果解析・成果発表を行う。慶應義塾大学医学部病理学教室スタッフにも、meetingを通して実験に関わる技術的アドバイスを仰いでいる。所属研究班の代表および助教一同と常時research conferenceを行い、デザイン・実験手法・実験結果とその解釈について議論を重ねながら研究を進めている。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
適宜物品調達を行っていく。
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