2016 Fiscal Year Research-status Report
鼻腔内細菌コミュニティが通年性アレルギー性鼻炎に及ぼす影響
Project/Area Number |
15K20230
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
渡邊 荘 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 耳鼻いんこう科医長 (20439491)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 微生物ゲノム / microbiome |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性鼻炎は鼻閉・水様性鼻漏・くしゃみを主徴とし、スギ抗原などによる花粉症においては眼の掻痒感も伴う。病理組織学的には好酸球浸潤が主体の炎症像が認められる。近年では生活様式の変化や環境の変化に伴ってアレルギー性疾患が増加し、アレルギー性鼻炎の有病率が年々増加しており、症状が悪化すると日常生活の質が著しく損なわれる。抗アレルギー薬、副腎皮質ステロイド薬の投与もしくはアレルゲンによる免疫療法により改善が見込まれるが、難治性の症例に対しては手術的治療が選択される。本研究では健常者とアレルギー性鼻炎患者より採取した細菌よりDNAを抽出してDNAシーケンスを用い細菌種を同定し、鼻腔の細菌コミュニティーがアレルギー性鼻炎発症にどのように影響するのか解析を行うとともに、健常者およびアレルギー性鼻炎患者との違いからアレルギー性鼻炎・発症予防に関わるであろう因子を検出することを目的とする。 平成27年度は通年性アレルギー性鼻炎患者および健常者の総鼻道を綿棒で擦過して検体を採取することを目標とした。通年性アレルギー性鼻炎患者および健常者の総鼻道を内視鏡で観察しながら滅菌綿棒でその部位を擦過し、DNAの抽出を行い、PCRにて細菌特異的16s rRNA遺伝子を増幅した。PCR産物がきちんと得られたかどうか電気泳動にて確認を行った。また患者より採取した血液より末梢血単核球を採取しCD4陽性細胞をソーティングした。 平成28年度は得られたDNAをもちいた次世代シーケンスから微生物種の同定を行い、またCD4陽性細胞からのサイトカイン発現を測定することを目標としていたが、研究代表者が年度半ばに異動となり、その前後で研究活動が全く行えず、研究が遅れている状態にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度は年度半ばで異動となり、その前は異動の準備などで研究活動がほとんど止まっていた。異動後も研究環境の整備のため研究を再開するまでに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は平成28年度から引き続き、得られたDNAを用いて次世代シーケンスを行う。検体に含まれる遺伝子の塩基配列を決定し、微生物種の同定を行う。得られた結果から、健常者とアレルギー性鼻炎患者でmicrobiomeに違いがあるのか統計処理を行って検討する。またCD4陽性細胞からサイトカインの発現を測定するが、細胞の保存期間が長くなっており、解析に用いることができない場合は検体の追加採取を行う。
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Causes of Carryover |
対象となる患者・健常者の症状データ取得のために購入した機器以外には支出がない。検体のデータ測定ができていないため、かなりの差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検体の測定・解析を進める。ELISAなどの測定キット、シーケンスにかかる費用に充てられる予定。
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