2016 Fiscal Year Research-status Report
内耳有毛細胞の不動毛極性決定におけるスカフォールド蛋白質の機能解明
Project/Area Number |
15K20239
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
安田 俊平 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (50534012)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝性難聴 / 極性異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
WhirlinおよびSans 遺伝子はUsher症候群の発症責任遺伝子であり、蛋白質相互作用の仲介役として内耳有毛細胞の不動毛(stereocilia)形成に機能する。また、両遺伝子の二重変異マウスでは新たな表現型として、不動毛の配向・極性異常を示す。本研究ではWhirlinおよびSansの不動毛における極性決定における機能を解明するため以下の項目において実験を実施した。 1.遺伝子発現比較解析:野生型、Whirlin変異体およびSans変異体の胎齢16.5日齢個体から内耳蝸牛組織を摘出し、RNA-Seq解析を実施可能な必要量のRNA収集を完了した。しかし、Whirlin, Sans二重変異マウスについては解析に必要なRNAを得ることができなかった。 2.Whirlin Longアイソフォーム特異的変異マウスの作製:本研究でこれまで解析に使用しているWhirlin 変異体はWhirlinタンパク質のLongおよびShortの両アイソフォームを欠損している。SansとWhirlinは、Longアイソフォームの2種のPDZドメインを介して結合すること、2種のアイソフォームの不動毛における機能が異なることから、Longアイソフォーム特異的変異マウスを用いた検証実験が必要となると考えた。そこで本研究ではBACトランスジェネシスによりShortアイソフォームの機能を回復したLongアイソフォーム特異的欠損マウスを作製した。表現型解析を実施した結果、作製したマウスはShortアイソフォーム欠損に起因する不動毛の伸長不全は回復しており、難聴の軽度化も認められたことからLongアイソフォーム特異的欠損マウスが作製できたと判断した。現在、作製したマウスとSans変異体を交配し、配向・極性異常の表現型検証のための二重変異マウスを作製している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度においては、Sans, Whirlinの二重変異マウスは交配成立および受胎個体が極めて少なく、発現解析のためのRNA量を得ることができなかったため、研究期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
Sans, Whirlinの二重変異体の個体確保のために体外受精も検討しているが、他の遺伝子型のマウスからのRNAはすべて自然交配により得た個体から抽出してきたことから、解析条件を統一するため、また解析必要量までもう一歩であるため、引き続き自然交配によるサンプルの収集を継続する。また、サンプル収集が完了次第早急に発現解析を実施し、交付申請書に示した研究計画通り、Sans, Whirlin二重変異マウス特異的発現変動遺伝子のゲノム編集による変異マウスの作製・解析、およびSansおよびWhirlinタンパク質との相互作用解析を行う。
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Causes of Carryover |
二重変異マウスのRNAを必要量回収することができず、RNA-seq解析を実施することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RNA-seq解析および論文作成時の英文校閲および投稿料として使用する。
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