2015 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛組織特異的マクロファージの機能解析と感音難聴発症メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
15K20240
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
林 裕史 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (40715166)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 蝸牛 / 有毛細胞 / 組織特異的マクロファージ / 感音難聴 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
突発性難聴、メニエール病、先天性難聴などウイルス感染症の関与が示唆される内耳性難聴の病態はいまだ明らかではなく、ゆえに決定的な治療法もない。我々はこれまでの研究において、免疫特権部位と呼ばれる強い免疫抑制環境をもつとされてきた臓器である蝸牛において、音の知覚を司る有毛細胞の外側に位置する支持細胞であるヘンゼン細胞・クラウディウス細胞が、ウイルス感染時にウイルスのgenome RNAを認識する細胞内受容体であるretinoic acid-inducible gene-I (RIG-I) like receptor (RLR) familyのシグナル伝達経路を介して抗ウイルス作用を持つtype I interferon (IFN)を発現することを突き止めた。この結果を受け、蝸牛がウイルス感染した際に蝸牛内の組織特異的マクロファージがどのような挙動を示して抗ウイルス作用を発揮するのか検討を行っている。まず蝸牛組織においてどの部位にマクロファージが局在しているのか同定するために、免疫化学染色法を用いて検討した。具体的にはマウスより蝸牛を摘出し、蝸牛全体で凍結切片を作成、また感覚上皮のみを取り出してwhole mountにてそれぞれ免疫染色を施した。凍結切片にて蝸牛全体におけるマクロファージの局在を大まかに調べ、また感覚上皮のwhole mountにて聴覚にとって特に重要なコルチ器におけるマクロファージの局在を重点的に検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マクロファージマーカーは多数知られており、それらに対し一つずつ免疫化学染色法の条件検討を必要とし、それに時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
マクロファージマーカーの発現について、免疫化学染色法だけでなく、Western Blotting法、定量的RT-PCR法も用いて検討を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
平成27年度に行う予定であった定量的RT-PCR、マイクロアレイ・サイトカインアレイまで到達することができず、これらの実験を平成28年度に行う予定であるため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
定量的RT-PCRに必要な試薬、プローブの購入、マイクロアレイ・サイトカインアレイに必要な試薬、チップを購入する予定である。 免疫化学染色を施したサンプルをコンフォーカル顕微鏡で撮影した写真を三次元で再構築、ムービーを作成するソフトを残額で購入する予定である。
|