2015 Fiscal Year Research-status Report
トレハロースによる眼内増殖性疾患の新規制御法の開発
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15K20246
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
安達 功武 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (60620862)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トレハロース / 糖尿病網膜症 / 黄斑円孔 / コラーゲンゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
私の所属する研究室ではこれまでトレハロースには線維芽細胞、血管内皮細胞および悪性黒色腫細胞などの間葉系由来細胞の増殖抑制作用がありながら上皮細胞保護作用をもつという二面性の性質があることを報告してきた。これはトレハロースが上皮間葉系移行(EMT)および間葉系上皮移行(MET)を抑制するという特異な性質によるものであると考えられる。このトレハロースの性質はさらに網膜硝子体疾患の治療にも応用できる可能性があるため、本研究では網膜硝子体疾患において硝子体中の線維増殖や網膜下新生血管発生をトレハロースが抑制できるかどうかを、ヒト硝子体サンプルを利用したin vitro培養細胞系と動物実験によるin vivo検索により、その一端を明らかにすることを目的とした。 本年度は硝子体手術にて得られたヒト硝子体サンプルをヒト網膜色素上皮由来培養細胞(ARPE-19)含有のコラーゲンゲルに直接添加して硝子体成分によるコラーゲン収縮を惹起させた。その結果、増殖糖尿病網膜症患者の硝子体ではコラーゲンゲルが収縮したのに対し、黄斑円孔硝子体では収縮が起こらなかった。この疾患特異性を確認した後、今度はARPE-19細胞含有コラーゲンゲルに増殖糖尿病網膜症硝子体を加え、さらにトレハロースを添加したところ、ゲルの収縮は起こらなかった。この現象は増殖糖尿病網膜症硝子体中に含まれるTGFβなどのサイトカインによってARPE-19細胞がコラーゲンゲルを収縮させ、この反応がトレハロースによって抑制されたことを表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
硝子体サンプルの入手と保存が計画通りに進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
硝子体サンプルの採取と保存について積極的に行うようにする。
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Research Products
(2 results)