2016 Fiscal Year Research-status Report
トレハロースによる眼内増殖性疾患の新規制御法の開発
Project/Area Number |
15K20246
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
安達 功武 弘前大学, 医学研究科, 助手 (60620862)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 裂孔原性網膜剥離 / 増殖糖尿病網膜症 / 炎症性サイトカイン / 酸化ストレス / トレハロース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は糖尿病網膜症や増殖性網膜硝子体症などの眼内増殖性疾患を対象として、病的硝子体に含まれる増殖因子や組織障害因子を生化学的に解析し、さらに眼内増殖因子や組織障害因子に対してトレハロースがどの程度抑制効果を示すかを明らかにする研究課題である。初年度は各種眼内増殖疾患に対する硝子体手術時に採取した硝子体サンプルを用いてARPE-19コラーゲンゲルに対する収縮作用がトレハロースによって試験管内で抑制されたことを明らかにした。 当該年度は眼内増殖性疾患のひとつである裂孔原性網膜剥離を主たる対象として、手術時に採取された硝子体サンプル中に含まれる抗酸化力と各種炎症性サイトカインの定量的分析を行った。また、さらに抗酸化力と炎症性サイトカインが裂孔原性網膜剥離の臨床像とどのような関連性があるのかについて統計的に解析した。その結果、抗酸化力については、裂孔原性網膜剥離では対照疾患として網膜剥離のない状態である黄斑円孔に比べて、統計学的に有意に硝子体内の抗酸化力が低下していることが明らかとなり、かつ、抗酸化力の低下は網膜剥離の範囲と剥離期間に有意に相関があることが明らかになった。さらに27種類の炎症性サイトカインのうち、裂孔原性網膜剥離ではMCP-1, MIP-1βおよびIP-10が増殖糖尿病網膜症と同程度に上昇していることと、IL6とIL8が糖尿病網膜症ほどではないが黄斑円孔に比べ有意に上昇していることを明らかにした。これらの炎症性サイトカインは網膜剥離範囲や剥離持続期間に有意な相関を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度で硝子体サンプルの採取と保存がやや遅れていることが問題視されたが、当該年度では積極的に硝子体サンプルの採取に努めた結果、次年度での研究に支障ない程度に採取と保存が進んだものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に行ったARPE-19細胞含有コラーゲンゲルの各種疾患硝子体サンプルによる収縮力の測定とトレハロースによる収縮抑制効果試験をさらにサンプル数を増やして、かつトレハロースの濃度に変化を持たせた上で検討・解析する予定である。
|
Research Products
(5 results)