2015 Fiscal Year Research-status Report
緑内障モデル動物におけるEcel1の機能解析と治療への応用
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15K20247
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 孝太 東北大学, 大学病院, 助教 (50732327)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 緑内障 / Ecel1 / 神経保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
視神経挫滅により神経節細胞が変性しているかどうかを、網膜神経節細胞のマーカーであるThy1, Nefh, Brn3a, Brn3b, Brn3cおよびRbpmsの遺伝子発現量をRT-PCRにより調べた。その結果、視神経挫滅2,4,7日後において継時的に網膜神経節細胞のマーカー遺伝子の発現減少が認められた。また、ウェスタンブロッティングの結果、Rbpmsタンパク質も同様に発現量が減少していた。さらに、視神経挫滅4日後にはRbpms陽性細胞数の減少が認められ、視神経挫滅により緑内障モデルが作製できていることを確認した。視神経挫滅による緑内障モデルにおいてEcel1の発現量が劇的に上昇すること、また、この急激なEcel1の発現上昇はNMDA障害やAAPHによる酸化ストレスでは誘導されないが、ビンブラスチンによる軸索流障害によって発現誘導が再現されることから、視神経挫滅によるEcel1の発現上昇は網膜神経節細胞の軸索流障害により生じていることが明らかとなった。またEcel1を発現する細胞が網膜神経節細胞であることを免疫組織化学により確認した。加えて、Ecel1の機能解析を行うため、Ecel1を過剰発現させるウイルスベクターを作製した。このウイルスベクターを感染させた網膜神経節細胞内においてEcel1が過剰発現していることがRT-PCRおよびウェスタンブロッティングの解析から明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者は緑内障障害モデルの確立とEcel1の発現パターンおよび局在の解析に加え、Ecel1過剰発現のウイルスベクターを既に作成しており、申請書に記載した当該年度の研究内容をすべて終えデータをまとめ、学会で発表した。さらに、次年度に実施する予定であったウイルスベクターを用いた神経保護の評価実験に加え、そのメカニズムの解析に既に着手していることから、当初の計画以上の進展が見られている。本年度で得られた成果は国際的な雑誌に投稿する予定であり、現在執筆を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
Ecel1過剰発現ウイルスベクターを用いて神経節細胞に対する神経保護効果を検討する。また、Ecel1の下流シグナルを解析するため遺伝子発現の網羅解析とその再現性を確認し、標的因子を絞り込むことでEcel1の生理的な機能の解明を目指す。加えて、得られた成果を国際誌に投稿し研究内容を広く世界に発信する。
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Causes of Carryover |
申請書に記載している次年度予定の最も重要な実験内容である神経節細胞治療の試みを、Ecel1過剰発現ウイルスベクターを用いて行うため。またEcel1の下流にあるシグナル経路を解明するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Ecel1を過剰発現するウイルスベクターを眼球内に投与してあらかじめ網膜神経節細胞内にEcel1を過剰発現させ、その後に視神経挫滅を行い緑内障モデルを作製する。神経節細胞の保護効果は、フルオロゴールドによる逆行性神経や、in vivoイメージングによる死細胞の検出および網膜神経節細胞特異的に発現する遺伝子の発現量を測定することで評価する。
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