2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K20259
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 進 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (00536956)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 角膜内皮 / 転写制御 / マウス発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新規培養法によって得られたヒト角膜内皮前駆細胞を用いて角膜内皮の分化機構をRNA干渉法および薬剤スクリーニングを用いた手法で検討し、分化指向性に関与する因子の絞り込みを実施した。 ヒト角膜内皮前駆細胞に発現する角膜内皮に関連した転写因子をRNA干渉法を用いて発現抑制し、角膜内皮機能マーカーを指標として定量PCRを用いて解析した。その結果、角膜内皮の機能的および特異的マーカーの発現を調節する複数の候補転写因子を得ることができた。さらに、これらの遺伝子はそれぞれの転写因子が協同的にその発現を調節していることも確認された。これらの転写因子の発現時期をマウス胎児を用いた免疫染色により、角膜内皮発生の発生学的起源と考えられる眼周囲間充織および成体マウス眼においても、その発現が確認させた。今回絞り込みを行った転写因子は、既にDNA結合配列が報告されているため、角膜内皮の機能マーカーおよび特異的マーカーとその転写因子の結合部位の同定を開始した。 また、角膜内皮機能マーカーの発現を促進させる化合物を選出するためにヒト角膜内皮前駆細胞を薬剤ライブラリーを用いて低分子化合物のスクリーニングを実施した。その結果、数種類の化合物が角膜内皮分化および機能マーカーの発現を亢進させることを転写レベルで確認した。これらの化合物の作用機序は既に明らかになっており、角膜内皮の分化指向性にどのように寄与しているか現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では申請の通り、RNA干渉法および低分子化合物ライブラリー等を用いた探索的研究によって、角膜内皮前駆細胞から成熟角膜内皮細胞への分化機構に関与する因子の選定を行い、その候補因子を複数絞り込むことができた。 以上の理由により、本年度の研究は当初の予定通り進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
選出した転写因子及び低分子化合物を用いて角膜内皮への指向性を運命づける因子の作用機序の解析を行う。角膜内皮機能マーカーの転写制御領域に対する候補転写因子の解析を実施する。また候補低分子化合物はそのシグナルが角膜内皮の発生段階において必要かマウス角膜内皮発生期の初代培養等によって確認を行う。またこれら因子が、角膜内皮の生理機能にどのように関与するか解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画より、迅速かつ効率的に結果を得ることができたため、試薬代などの費用が抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降も本年度と同様に細胞培養関連消耗品やsiRNA、抗体、オリゴDNA等の購入費が必要である。さらにマウス胎児初代培養で実施するためにその購入費とその解析費用が必要となる。また本研究成果を発表するための、学会参加費用および論文校閲・掲載費などにも使用する予定である。
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