2015 Fiscal Year Research-status Report
持続性細胞内シグナル活性異常を標的とした未熟児網膜症の新規治療法の開発
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15K20260
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福嶋 葉子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (70647031)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 網膜 / 血管新生 / 細胞内シグナル伝達 / VEGF |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究において、培養血管内皮細胞に対するVEGFの長期刺激は、VEGF下流の特定シグナル伝達分子のみに持続活性を誘導することを見出した。さらに、このシグナル分子の活性化がVEGF刺激中止後も維持される結果、血管内皮細胞の遊走能や細胞間接着の低下による透過性亢進など機能異常が継続することを明らかにした。そこで、遺伝子改変マウスを用いて、この特定のシグナル分子の持続活性を誘導し、発生期の網膜血管新生を観察したところ、血管内皮細胞の著明な増殖や瘤状変化による網膜出血や浮腫を認めた。細胞内の持続活性シグナルは、網膜血管新生に対する新規の治療標的となりうることが期待できる。次年度は、未熟児網膜症モデルを作成した上でシグナル分子の持続活性を誘導し、病的血管新生における効果を解析する。またシグナル分子の持続活性を調節する分子を同定し、未熟児網膜症の治療標的として有用かを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、培養血管内皮細胞を用いて、長期VEGF刺激による持続活性シグナルを誘導するモデルを確立し、細胞機能の変化を明らかにした。さらに、タモキシフェン誘導型のシグナル持続活性マウスを用いて、発生期の網膜血管新生における持続活性シグナルの影響を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はシグナル持続活性マウスを用いて、未熟児網膜症モデルを作成し病的血管新生における効果および成体血管における効果を検証する。さらに、持続活性シグナルを調整する分子を同定し、未熟児網膜症を含む虚血性網膜疾患における異常血管新生の消退と正常血管形成の回復を試みる。
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Causes of Carryover |
資材の入手困難(マウス等実験動物の確保難)
入手したマウスを当該施設においてSPF化した後に飼育を開始する予定であったが、体外受精による産仔が得られず、延期となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再度の体外受精を行い、動物実験施設での飼育を開始する予定としている。
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Research Products
(4 results)