2016 Fiscal Year Research-status Report
AMPキナーゼを標的とした未熟児網膜症の新治療戦略
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15K20263
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
細川 海音 岡山大学, 大学病院, 助教 (00711053)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 未熟児網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
未熟児網膜症は本邦の小児の失明原因の第一位(40%)であり、近年、症例数の増加や重症化が社会問題となっている。未熟児網膜症の本態は、網膜における病的な血管新生であるが、その病態は未だ不明な点が多く、現在の治療法は重篤な合併症を伴うという欠点がある。 申請者らはこれまでに、細胞のエネルギーセンサーと呼ばれるAMP活性化プロテインキナーゼ(以下AMPK)の活性化が、他の眼疾患において血管新生を抑制する効果があることを明らかにしてきた。そこで本研究では、未熟児網膜症の病態におけるAMPKの役割を解析する。そして、AMPKの活性を制御する事で未熟児網膜症の発症や進行を阻止する事が出来るかどうかを明らかにし、未熟児網膜症の新たな治療法開発の基盤となる研究を行う。 昨年に、動物を用いた眼球実験の技術的な難しさに直面し、今年度は網膜を構成する細胞の一つである網膜色素上皮細胞に着目して研究を行った。当初、ARPE-19とiPS由来RPEを用いて実験をはじめた。酸素濃度を変化できる培養器を用いて未熟児網膜症を模した酸素濃度変化を起こさせ、その際のAMPKの変化を調べた。しかし、ARPE-19については、本来のRPEとしての機能を有していないのではないかとの報告があり、またiPS-由来RPEについてはRPEへの分化に半年を要するという問題点が生じた。そこで、現在は胎児由来の初代培養RPEを新たに入手し実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験の難しさに加えて、細胞種による培養条件の違いを克服できていない点が問題である。特にiPS由来RPEは分化に非常に時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児由来の初代培養RPEを入手し、安定して培養できている。この細胞を用いて研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも消耗品が必要ではなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に全てを研究消耗費として使用する予定である。
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