2015 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲン線維配列解析を基軸とした角膜透明性治癒機構の解明
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15K20264
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
守田 裕希子 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教 (30725669)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体分子 / 医療・福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
角膜の創傷治癒過程において、瘢痕を抑制する可能性のある薬剤として、NR4A1アゴニストであるCystosporone B(CsnB)およびTGF-β阻害剤であるLY2157299に着目をし、研究を進めた。TGF-βが一過性に発現上昇した際にNR4A1は発現が誘導され、負のフィードバックとしてTGF-βの線維化誘導作用を制限するため、アゴニストであるCsnBは線維化を抑制することが報告されている。また、LY2157299は瘢痕形成のキープレーヤーとなるTGF-βを阻害する薬剤である。 ゲル収縮実験にて、TGF-β刺激、TGF-β+CsnB刺激、TGF-β+LY2157299刺激、刺激なしで比較をすると、TGF-β刺激で収縮していたゲルと比較し、TGF-β+LY2157299刺激ではゲル収縮の程度はかわらず、TGF-β+CsnBではゲル収縮抑制をかけることがわかった。これより、CsnBはTGF-βの働きを阻害していることがわかった。 次に、培養ヒト角膜実質細胞(HKC)を用いて、TGF-β刺激のみ、TGF-β+CsnB、CsnBのみ、刺激なしで筋線維芽細胞のマーカーであるαSMAの発現について確認をした。TGF-β刺激したHKCではαSMAが多く発現、CsnBのみ、刺激なしでは発現しておらず、TGF-β+CsnB刺激を行ったものでは、TGF-β刺激をしたHKCと比べて、αSMAの発現がわずかであり、CsnBにより角膜実質細胞の筋線維芽細胞への分化転換が抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画は平成27年度と28年度で順番に変更があるものの、本研究の目的である瘢痕抑制となる薬剤について検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
瘢痕形成モデル(角膜切創モデル:透明治癒モデル、瘢痕形成モデル)を作成し、角膜傷害を受けた瘢痕部位における角膜実質細胞の分化転換および角膜実質コラーゲンの立体構造についてwhole-mount法および凍結切片を用いて瘢痕の評価を行う。また、瘢痕形成動物モデル(角膜切創モデル)を用い、角膜傷害を受けた瘢痕部位における瘢痕形成を抑制させる薬物投与を行い、同様に評価をする。
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Causes of Carryover |
平成27年度は角膜切創モデルの作製および瘢痕評価を行う予定であったが、当初平成28年度に行う予定であった角膜実質のリモデリングに関与する薬剤のスクリーニングを本年度に施行したため。平成28年度に角膜切創モデルの作製および瘢痕評価を行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物購入費や飼育、抗体購入等に使用する。
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