2018 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of blue-blocking intraocular lenses on circadian biological rhythm: protocol for a randomised controlled trial (CLOCK-IOL colour study)
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15K20276
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
西 智 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70571214)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 白内障手術 / メラトニン / 生体リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
生体リズムと外部環境の不一致は、睡眠障害・うつ病・肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症・心血管疾患・がんなど多様な疾患のリスクを上昇させることがシフトワーカーにおける疫学調査で示され、その機序は動物実験やコントロール下の実験研究で研究されている。網膜の内因性光感受性網膜神経節細胞(intrinsically photosensitive retinal ganglion cell)を介して生体リズムの制御中枢である視交叉上核に入力される非視覚的光情報は、生体リズムを外部環境に同調させる上で最も重要なシグナルであり、その作用は464nm付近の短波長光で最も強いことが報告されている。 白内障手術は、視力を改善する効果に加えて、網膜への非視覚的光情報を増加させ、生体リズムと外部環境の同調を促進する効果が期待されるが、白内障手術には、短波長光を遮断する着色眼内レンズと非着色眼内レンズの両方が一般的に用いられている。着色眼内レンズは短波長による網膜障害の軽減が期待される一方、生体リズム同調効果は劣る可能性がある。本研究の目的は無作為化比較試験により着色レンズ群と非着色レンズ群の2群間で、生体リズムに関連するうつ症状・睡眠障害・糖・脂質代謝や、生体リズム指標であるメラトニン分泌量を比較することである。 平成30年度までに174名の白内障患者において、着色レンズ群と非着色レンズ群の比較を行うことができた。当初予定していなかった白内障手術を行っていないコントロール群との比較分析を行った結果から、白内障手術のメラトニン分泌への短期的影響を明らかにすることができた。一方、現段階で当初予定より少ない対象者数にとどまった。また白内障重症度と血圧サーカディアンリズムに関する観察研究の結果が科学誌に掲載された点は評価できる。
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