2015 Fiscal Year Research-status Report
マウスを用いTRPA1イオンチャネルに着目した脈絡膜血管新生の新規治療戦略の確立
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15K20278
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
楠本 恵子 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (20725577)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 角膜新生血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスへの脈絡膜新生血管誘発アルゴンレーザー照射を施行しているが、照射による脈絡膜血管誘発が一定せず手技体得に時間を要したため、ノックアウトマウスを使用するに至っていない。当該年度では並行して、比較的に手技が容易な角膜新生血管への影響に関して検討を追加した。 (1)C57bL/6背景TRPA1-/-マウス(KO、n=18)および野生型(WT)マウス(n=18)の片眼角膜をパクレンRを用いて焼灼し、輪部から角膜実質への血管新生を誘導した。処置後3~14日後の角膜のPECAM-1に対する免疫組織化学染色を行い新生血管の長さを測定した。(2) KO(n=20)およびWT(n=20)の片眼角膜中央をパクレンRで焼灼し角膜血管新生を誘導した。焼灼後3日後の角膜を摘出、RNAを抽出した。Real-time RT-PCR法を用いて血管内皮成長因子(VEGF)、トランスフォーミング成長因子B-1(TGFB-1)、マクロファージマーカー(F4/80)の発現を比較した。(3) 培養血管内皮細胞(HUVEC)と線維芽細胞の共培養を用い、VEGF 存在下に培養液中にTRPA1アンタゴニスト(HC-030031:10μM)またはアゴニスト(AITC:10μM)を添加しHUVECによる管空形成(血管新生作用)に対する影響を検討した。【結果】(1)KOはWTに比して3~14日後輪部からの角膜血管新生が抑制されていた。(2)KO角膜ではWT角膜と比較してVEGF、TGFB1、F4/80の発現が有意に抑制された。(3)HUVECの血管新生形成(長さと分岐数)はアゴニスト添加では変化がみられなかったが、アンタゴニスト添加で抑制された。【結論】TRPA1シグナルの抑制で角膜新生血管が抑制されることが確認された。TRPA1遺伝子欠失は角膜血管新生の過程で組織でのマクロファージの浸潤、VEGF とTGFB-1発現レベルを抑制していた。KOマウス角膜での血管新生の誘導抑制を説明できる変化を考えられたため、次年度は脈絡膜血管新生に関しても検討を追加していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験的脈絡膜新生血管誘発のため、全身麻酔下でマウス眼にアルゴンレーザー (Lambda Plus; Coherent Inc., Santa Clara, CA)で、各象限に1スポット照射(150 mW, スポットサイズ 80 μm, 照射時間100 ms)するが、得られた結果が一定しないため、照射方法の手技の体得に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス眼底へのアルゴンレーザー照射の体得を進めるとともに、脈絡膜新生血管の発現についてフルオレスセインデキストラン血管造影、眼球の組織学的検討、脈絡膜組織からRNA抽出しreal-time RT-PCRで炎症性の遺伝子発現を評価する。 また野生型マウスでのアルゴンレーザー誘発CNVが、TRPA1アンタゴニスト(HC-030031)全身(腹腔内)投与で抑制されるか否かを検討する。
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Research Products
(2 results)