2016 Fiscal Year Research-status Report
マウスを用いTRPA1イオンチャネルに着目した脈絡膜血管新生の新規治療戦略の確立
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15K20278
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
楠本 恵子 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (20725577)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脈絡膜新生血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
TRPA1ノックアウト(KO)マウスでは角膜電熱凝固の角膜実質の血管新生が抑制され、マクロファージの浸潤、血管内皮成長因子、トランスフォーミング成長因子β1の発現レベルが低下することを報告した。 血管内皮細胞へのTRPA1の影響と、マウスでのアルゴンレーザー誘発脈絡膜新生血管モデルのTRPA1欠損の影響を検討した。 【方法】(1)HUVECと線維芽細胞の共培養を用い、VEGF 存在下に培養液中にTRPA1アンタゴニスト(HC-030031:10μM)またはアゴニスト(AITC:10μM)を添加後14日間培養し、HUVECでの血管新生作用を長さと分岐数で評価した。(2)培養HUVECを用い、VEGF 存在下に培養液中に方法(1)と同内容で添加後7日間培養し、vEGFシグナル(ErkとAkt活性化)をWestern blottingで評価した。 (3)野生型マウスとTRPA1ノックアウトマウスを用いてマウス網膜にアルゴンレーザー照射でCNVを誘発し、レーザー照射14日後に10%フルオレスセインデキストラン心腔から注入することで血管造影を行い蛍光顕微鏡で撮影し、CNVの大きさを解析した。 【結果】(1)HUVECの血管新生作用はTRPA1アゴニスト添加で差はみられなかったが、アンタゴニスト添加で有意かつ著明に抑制された。(2) VEGF暴露によるErkとAktの活性化はTRPA1アゴニストおよびアンタゴニスト添加で影響されなかった。(3)TRPA1ノックアウトマウスにおいて、レーザー誘発CNVは抑制された。 【結論】TRPA1はArkとAktシグナルへの影響を介さずの血管新生活性に関与している。KOマウスでの血管新生抑制の機序の一端を解明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当院の動物実験施設が感染症のため一時閉鎖していたため、マウスを用いた検討を行うことができない時期があった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後生体実験系として(1)レーザー照射後に脈絡膜組織(強膜付き)からRNA抽出、real-time RT-PCRで炎症性の遺伝子発現を評価する。(2)野生型マウスでのアルゴンレーザー誘発CNVが、TRPA1アンタゴニスト(HC-030031)全身(腹腔内)投与で抑制されるか否かを検討する。
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