2018 Fiscal Year Annual Research Report
マウスを用いTRPA1イオンチャネルに着目した脈絡膜血管新生の新規治療戦略の確立
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15K20278
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
臼井 恵子 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (20725577)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TRPA1 / algon laser induced CNV |
Outline of Annual Research Achievements |
TRPA1は感覚神経細胞に主に発現するCa2+イオンチャネルである。本研究では、TRPA1欠失マウスでのレーザー誘発実験的脈絡膜血管新生(CNV)の形成を軽減させることが出来るか否かを検討した。 TRPA1欠失はレーザー誘発CNVを優位に抑制し、その際、TRPA1陽性細胞は血管内皮細胞と共発現はしないが近接に発現していた。 炎症細胞浸潤を評価するため、TRPA1遺伝子欠失がF4/80陽性細胞におけるVEGF、TGFβ1mRNA発現レベルに影響するかを調べたが、これらはTRPA1に影響されなかった。レーザー照射後の脈絡膜組織からRNAを抽出し、TGFβ-1、MPO、VEGF、F4/80などについてRT-PCRを行ったが、TRPA1欠失はTGFβ-1、MPOの抑制は認めたがその他は差を認めなかった。 脈絡膜への炎症細胞浸潤は、VEGFおよびTGFβ-1を含む血管新生増殖因子供給源の1つであると考えられる。今後は血管内皮細胞やマクロファージ特異的なコンディショナル欠失マウスを作成し、レーザー誘発CNV実験を予定してる。 血管新生反応は、ERK1/2MAPKおよびAktシグナルを介している。培養ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた検討では、いずれの経路もTRPA1作動薬、拮抗薬に影響されなかった。このため我々は血管内皮細胞に隣接するTRPA1陽性細胞の活性化が血管内皮のVEGFRを活性化しCNV形成を誘導すると仮定し、TRPA1を発現し、かつ血管内皮と近接することから繊維芽細胞に着目し、HUVECと繊維芽細胞の共培養系を用いて検討を行った。結果、TRPA1遮断がHUVECによる新生血管作用を抑制した。TRPA1拮抗薬によるHUVEC管腔形成の阻害は、線維芽細胞層に存在するTRPA1機能の遮断によるものと考えられた。 以上から、TRPA1シグナル制御によりCNVを抑制できる可能性がある。
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