2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K20280
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
石川 伸之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00458077)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 落屑症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
落屑症候群の合併症である緑内障リスク,白内障、眼内レンズ手術後の前嚢の過剰な線維化、濾過手術後の結膜瘢痕が原発開放隅角緑内障よりも強い事はすべてTGFβ活性の増強に矛盾しない表現型である。落屑症候群ではLysyl oxidase-like 1 (LOXL1)遺伝子の異常と発現低下が報告されている。LOXL1遺伝子異常の落屑症候群の病態分子メカニズムへの関与の実態は解明されていない。LOXファミリーメンバーのプロトタイプであるLOXにTGFβ生理活性の抑制作用があることが報告されている。LOXL1が同様の作用を有しているか否かは報告が無いが、その同様の作用を有する可能性は大いに想定できる。解明できれば、落屑症候群の合併症である緑内障リスク、前嚢切開窓の線維化や濾過手術後の結膜瘢痕に対する対策にTGFβシグナル抑制の戦略が盛り込めると期待できる。 本実験について倫理委員会での審査、遺伝子組換え動物についての審査を受け承認され、実験動物の導入手続きを行い、実験に使用可能な個体の繁殖などの作業を行った。三種混合麻酔下でマイクロサージカルナイフを用いて約1.8mmの角膜全層切開の角膜創傷治癒モデルを作製し、C57BL/6NマウスとLOXl1ノックアウトマウスで角膜実質の治癒具合を免疫染色を施行して比較観察した。 その結果、LOXl1ノックアウトマウスで野生型マウス角膜と比較して、角膜実質の切開創の癒合が遅延していた。炎症細胞浸潤は強いように思われたが、治癒遅延に伴う二次的な所見と考えた。結果は、LOXL1の実質治癒過程での細胞挙動の解析の必要性と今後の課題を提示した。
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