2015 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性の前駆変化である細胞間接着破綻に対するルテインによる回復機構
Project/Area Number |
15K20283
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
成松 俊雄 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00570350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内失明原因の第4位を占める加齢黄斑変性(age-related macular degeneration; AMD)は、光暴露等の酸化ストレスの影響で、網膜色素上皮(retinal pigment epithelium; RPE)に病的変化を生じ、発症する疾患である。一度罹患すると現行の治療では元には戻らないことから、健康長寿を目指すためには予防治療の確率が重要である。大型臨床試験の結果を受けて、AMD発症・進行予防のためにはルテインを含む抗酸化サプリメントを摂取することが、日本眼科学会の治療ガイドラインで推奨されているが、その効果の分子メカニズムはほとんどわかっていない。AMDの原因となる酸化ストレスの誘因としては、光暴露がある(AREDS Research Group Ophthalmology 2000、Narimatsu Ozawa et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 2013)。マウスを光に暴露させると、RPEで酸化ストレスが蓄積し、tight junction等の細胞間接着が破綻するとともIL-6、CCL-2、MCP-1等の炎症性サイトカインの発現が異常亢進して、マクロファージの遊走が促進することが知られる。そこで本研究では光暴露による酸化ストレスがRPEに及ぼすこれらのAMD関連病的変化を、ルテイン摂取が抑制する効果を分子レベルで解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光暴露によるRPEのAMD関連病態のモデルの確率は予定通りであり、その形態学的および分子発現に関するデータは得られた。さらに、ルテイン投与を行い,少なくとも形態学的変化の抑制には効果を持つことと言うデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
光暴露モデルにルテインを投与した際に,分子発現の変化を抑制しうるかを解析する。また、その際の酸化ストレスの状態を解析することでルテインの効果のメカニズムの裏付けをとる。既にルテインがAMD関連病態の一部を抑制する結果は得られており、今後の研究の推進に問題はないものと考える。
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Causes of Carryover |
輸入し購入予定であった抗体の価格が予測より低かったため、研究費予算を縮小でき、次年度使用額が発生した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光暴露モデルマウスにルテインを投与した際のRPEにおける炎症性サイトカインの発現とマクロファージの集積を解析する。平成27年度に決めたプロトコールでルテインを投与した際のフラットマウントRPEにおける分子生物学的を、リアルタイムPCRやELISAにより解析する。サンプル採取の方法は既に研究室で確立されたものがあり、炎症性サイトカインの種類としては、MCP-1, CCL2, IL-6のほか、CNV形成に重要とされるIL-1β, TGF-β, MMP-9等も解析する。マクロファージの集積はマーカーであるF4/80のリアルタイムPCRや免疫組織染色で解析する。光暴露で誘導されたものが、ルテイン投与により抑制されるかを解析する。また、光暴露モデルマウスにルテインを投与した際の抗酸化酵素の発現を解析し、同時にARPE19培養細胞株を用いて、酸化ストレスによる細胞間接着破綻と炎症性サイトカイン誘導に対するルテインの効果のメカニズムを解析する。
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