2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K20285
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
庭野 博子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (90748518)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 角膜上皮 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内では、ゆっくり増殖する幹細胞、一過性に激しく増殖するTransient amplifying cells,最終分化細胞からなる増殖秩序が存在する。一方、幹細胞を含む上皮未分化細胞は体外で増殖させることができ、培養上皮シートとして臨床応用されている。しかし、培養上皮シート中に生体と同様の増殖秩序が存在するのかについてはほとんどわかっていなかった。 本研究では、申請者グループが確立した長期培養法と既存の核酸標識・長期追跡を組み合わせ、Slow cycling cellsをLabel retaining cellsとして検出することで、培養上皮シートにおける増殖秩序の解析を試みた。 6か月Chaseした解析においては、予想よりもLRCが広範に広がり、上皮幹細胞マーカーとされるK15陽性細胞よりも広く分布していた。今後はChase日数を延長するとともに、Flow cytometryによる解析を試行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンフルエント直前の培養6日目から3日間連続標識した上皮細胞では、約60%(n=4)の上皮細胞においてEdUの取り込みが確認できた。6か月Chaseしたのち、この割合は約10%にまで有意に減少した。しかし、EdU陽性細胞はK15陽性細胞よりも広く分布していた。また、K15陰性細胞のEdU陽性率は6% ± 4%(平均 ± 標準偏差)で、K15陽性細胞のEdU陽性率は35% ± 21%であり、有意差は認められなかった(関連のあるt検定、p=0.09)。なお、免疫組織学的解析において、K15陽性の基底層からK15陰性の表層へと至るEdU陽性細胞の系譜が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、引き続き長期培養による追跡を行うとともに、可能であればFlow cytometryによる解析も施行する。この場合、共同利用研究室のGalliousを用いる。また並行して、蛍光レポーターを遺伝子導入し、これを追跡することで細胞動態の解析を試みる。
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Causes of Carryover |
当初計画したよりも長期標識実験が順調に進み、6か月Chase後の解析を年度中に行うことができた。しかし、予想よりも標識保持細胞が多く、Chase予定を1年に延長することとした。このため、培養用の試薬を中心に前倒しで購入することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前倒し購入した試薬を用いて培養期間を延長し、Chase1年におけるK15と標識保持細胞の解析を行う。
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