2016 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲的脳刺激法を用いた視覚障害患者の脳視覚野可塑性研究
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15K20289
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉嶺 松洋 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80570332)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | TMS / 視覚再建 / ナビゲーションシステム / 脳可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性眼疾患により視覚入力を途絶した視覚神経回路が変性するのか、再構築されるのか(可塑性)、それとも発症以前の構築を保存しているのか(安定性)は、iPS細胞を用いたような将来の視覚再建治療のために重要な問題である。その理由は、視覚神経回路の構築状態により治療の有効性が全く異なることが予想されるためである。眼疾患罹患後の視覚神経回路の安定性・可塑性・変性に関しては、現在も議論されているところであり、視覚再建治療施行前に明確にすべき問題であると考えられる。本研究の目的は、中心暗点を有する難治性眼疾患患者の脳視覚野を非侵襲的に刺激することで、視覚神経回路の機能面での性質を評価する。 今年度では中心暗点を有する被験者の病変投射領域への経頭蓋磁気刺激法による刺激によるデータ収集予定であった。患者対象の刺激前の正常者でのパイロット研究では多くの課題が実際には存在していた。MRIナビゲーションシステム導入し、刺激部位の正確性の向上を図ったが、被験者とリファレンスのアタッチメントが既存のものでは、後頭部の刺激には邪魔になり独自にアタッチメントを開発する必要があった。刺激する部屋には空間的な制約があり、刺激装置やMRIナビゲーション設置に工夫が必要であった。刺激方法の設定にも多くのパラメーターがあり、確実かつ安全な刺激設定にも苦渋した。また被験者の刺激に対する抵抗感が強く、同意が得られていないが現状である。 患者研究が困難なため、両眼中心視野障害をきたす疾患の対象を拡大する必要があった。変性疾患は稀な疾患で絶対数が少ない。加齢黄斑変性疾患は後天性であるが両側の中心視野障害をきたす比較的発症頻度の高い難治性疾患である。同時に他の研究で加齢黄斑変性患者のMRI撮像し、視放線の組織特異性変化をdMRI画像解析にて認めたことを第5回視野学会で発表し、現在英語論文提出中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
正常被験者での刺激をスムーズの行える設定についての検討が、他科との共同研究のため時間的、空間的な制約があった。さらには刺激に対する恐怖感による患者ならびに健常者の募集が難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
中心視野障害をきたす対象疾患を拡大し、公募を続け正常者との比較結果を検討できる症例数を増やしていく予定である。その結果を国際学会ならびに英語論文にて発表予定である。
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Causes of Carryover |
患者、正常者の被験者希望が困難であるためデータ収集が一部にとどまっているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者、正常者の研究が進み、データ収集、解析、謝礼を要する。さらにはそれらを国際学会で発表するための旅費、論文発表のための経費が必要と考えられる。
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Research Products
(1 results)