2015 Fiscal Year Research-status Report
小児医療をめざす小口径心臓弁の開発:皮下でつくる心臓弁の組織制御に関する研究
Project/Area Number |
15K20305
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
船山 麻理菜 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 特任研究員 (30713599)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 医療 / 心臓血管外科 / 組織工学 / 肺動脈弁 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者の体内で、患者自身の体の成分のみから作成可能な小児用の心臓弁様組織体(バイオバルブ)の開発に向け、平成27年度は直径6mm~15mmの小口径バイオバルブのサイズの仕様設定を実施した。 皮下に埋入した「型」表面で形成されるバイオバルブの組織膜の厚さは、能動的な細胞遊走に依存するため、小型になるほど一般に薄くなる傾向にあったことから、導管部および弁葉部を形成するための凸凹部材の組み合わせからなるバイオバルブの鋳型に、幅2 mmの柵で1 mmの隙間を開けて全周を囲ったカゴ部材を追加した二層構造の鋳型を3Dプリンターにて作製した。導管形成部がカゴで守られているため、内部に形成された小口径のバイオバルブへの損傷を心配することなく容易にビーグル犬の皮下から取り出すことが可能であった。 「型」の全ての部材を取り除くと、内部の部材と外周のカゴ部材との隙間を、皮下結合組織が完全に埋めた壁厚1 mmの導管壁をもつ小口径のバイオバルブが得られた。導管の内部には3枚の弁葉組織が形成され、導管とシームレスに一体化していた。また、導管部は自立できる丈夫な管腔構造を有し、取扱いが格段に向上した。導管部および弁葉部は主に層状のコラーゲンから構成され、炎症細胞の浸潤はほとんど認めなかった。 弁機能評価試験として、拍動流模擬回路を用いた平均動脈圧100 mmHg心拍数100 ~140 bpmの条件下において、3枚の弁葉の良好な開閉運動が観察され、平均逆流率は10%以下と低く、良好な弁機能が得られることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、小口径のバイオバルブにおける鋳型の形状仕様を検討した。生体内でのバイオバルブの形成は、能動的な細胞遊走に依存するため、小型になるほど一般に薄くなる傾向にあったが、鋳型の形状の工夫により導管部の壁厚確保が可能となった。また、拍動流模擬回路にて逆流率が10%以下であったことから、移植後の機能維持にも有効であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に決定した基本サイズについて段階的に拡大したサイズの小口径バイオバルブを作成し、生体外流体力学的評価試験を実施する。拍動流模擬回路にて弁葉の逆流率が10%を超えないことを基準し、その結果に準じて鋳型の各サイズに応じた改良を重ねる。また、小口径バイオバルブを小型犬の肺動脈弁位へ移植し、移植後は心臓超音波検査にて、肺動脈弁としての機能性、肺動脈弁逆流および肺動脈狭窄等の血行動態を評価指標とする。
|
Causes of Carryover |
今年度内の学会発表に要する旅費および、実験に要する消耗品費は3月末日まで研究活動が滞りなく推進できるのに必要最小限となるように計画的に使用した。しかし、バイオバルブの研究活動の発展および臨床現場のニーズ探索のため、急遽参加した国内学会の参加費(18,000円)が不足となったため、次年度の研究費にて請求することとなった。その結果、14,182円の未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会参加費(18,000円)として、今年度の未使用額(14,182円)および次年度の6月以降の予算(3,818円)を使用することを計画している。
|
Research Products
(4 results)