2015 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性創傷の好中球分子メカニズム解明および炎症制御に資するリード化合物の探索
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15K20314
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
梅原 敬弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病性皮膚創傷 / microRNA / 炎症 / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、糖尿病(DM)性創傷治癒遅延の要因として炎症が長期化すること、また炎症本態としてのDM由来好中球が炎症制御に関与する機能異常を生じた可能性があることを示唆した。そこで、糖尿病性皮膚創傷治癒遅延に関与するDM由来好中球制御の分子メカニズム解明のため、DM由来の好中球特異的に発現するmiRNAおよびmRNAを同定し、包括的に解析した。 8週齢のDM、非DMモデルマウスより骨髄由来細胞を回収し、MACS細胞分離システムにより、Anti-Ly-6G MicroBead KitおよびNeutrophil Isolation kitを用いて、好中球を分離する。分離した好中球よりMicroRNA isolation kit, Mouse Ago2を用いてmiRNAを精製し、SurePrint G3 Mouse microarrayを行った。一方、好中球よりmiRNeasy Mini Kitを用いてTotal RNAを抽出し、Miseqによる次世代シークエンスを行った。 申請者らは、DM由来好中球において、100以上のmiRNAが2倍以上の発現変動を示すことを明らかにした。また、1000以上のmRNAの発現変動を認めた。これらの結果は、糖尿病の好中球機能異常に多数の遺伝子が関与しており、またそれらの遺伝子の発現調節にmiRNAが関与している可能性が示唆された。現在、miRNAが標的とするmRNAを複数の解析ソフト(TargetScan, miRDB, microRNA.orgなど)を用いて予測し、GO解析、パスウェイ解析等により炎症制御に関与する遺伝子群を同定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、糖尿病由来好中球に発現するmiRNAの同定を次世代シークエンサーを用いて行う予定であったが、回収できた好中球から精製したmiRNAが低濃度であったため次世代シークエンスを行うことが出来なかった。そこでマイクロアレイ解析に方法を変更し、miRNAの同定を行ったため、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析にて抽出されたmiRNAおよび複数の解析ソフトによりmiRNAの標的と予測されるmRNAのうち炎症制御に関与する遺伝子群の詳細な発現検討をリアルタイムPCRを用いて行う。続いて、有意な発現変動を示したmiRNAおよびmRNAについて、mRNA中のmiRNA結合部位をブロックし、miRNA結合を競合的に阻害するアンチセンスを作製し、in vivoでの検討を行うことで、DM由来好中球に特異的に発現し、炎症制御に関与するmRNAに対するmiRNAの機能解析を行う。
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