2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K20319
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
清家 志円 杏林大学, 医学部, 助教 (20644933)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 神経二重支配 / 顔面神経麻痺 / 動物モデル開発 / 筋肉移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前にわれわれは、ラットの移植筋肉に2系統の等価の運動神経を付加させるモデルを開発したが、当該研究では、運動神経の種類を変更した新たなモデルを考案した。具体的には、神経血管柄付きで島状に挙上した広背筋弁の近位側神経および遠位神経に、いずれも運動神経である顔面神経および咬筋神経を神経縫合したモデルである。このモデルを用いて、顔面神経および咬筋神経のmotor sourceとしての差異を検討するために、筋収縮を調べた。ただし、筋収縮の観察に関しては、当初のforce transducerを用いて検討することを予定していたが、実験結果のばらつきが大きく、また、同一個体であっても再現性のある結果を得られないことが分かった。そのため、force transducerでなく、筋電図による電気生理学的手法によって観察した。この結果は、筋収縮を客観的に比較検討することはできないため、今後、筋収縮の評価方法に関しては、再考が必要と考えられた。また、いったん神経二重支配を付与したモデルの一方の神経を後日に切断して筋収縮の変化を観察する予定であった実験も、上述の問題のため、結果への信頼性という点で疑問が残った。 異種2系統の運動神経に支配される移植筋肉の神経分布の検討に関しては、来年度へ持ち越す予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたモデルの評価系について、再現性の点から信頼性について疑問が生じたため、評価系の見直しが必要となった。この後、電気生理学的な検討と組織学像からの検討を中心に、解析をしていく予定である。そのため、追加でのモデル作成数が必要となり、実験計画がやや遅れている、と判断した。筋収縮について、動画解析ソフトを用いた解析も考案しているが、予算の問題があるため、この解析方法が実現できるかどうかは検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度での評価系の問題を見直し、新たな評価方法を検討するとともに、動物モデル数を増やす必要が生じた。追加した動物モデルを用いて再解析を行い、また、当初予定していた通り、平成28年度には神経二重支配を付与した移植筋肉の組織学的検討を行い、さらに、神経の組織学的検討を追加して、筋肉線維および神経線維の数的評価による検討も行う予定である。 新たな評価方法(電気生理学的検討、移植筋肉の重量変化による検討、移植筋肉および神経の組織学的検討、ならびに神経回路標識法による二重染色)によって、異種2系統の運動神経が移植筋肉をどのような仕組みで再支配していくかの基礎的知見を得る予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の実験計画において、初年度における動物モデルの評価について再現性を得ることが困難で動物モデルを追加し評価を繰り返したことによって、実験動物購入費、薬品購入費などが予定を上回ったことが理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、残額助成金を参考に、申請者が平成28年4月1日付けで異動となる大阪大学医学部形成外科が保有する実験機材を利用するなどして効率的な実験計画を組み、試薬や実験動物など新たに購入する必要のあるものについては助成金を使用する予定である。
|