2015 Fiscal Year Research-status Report
ホールマウント染色による胎仔皮膚創傷治癒組織の解析
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15K20323
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
崎尾 怜子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70723261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マウス胎仔の皮膚創部組織のホールマウント染色標本を作製することによって創部組織における血管、リンパ管や神経の三次元的構造を解析することである。これによって、皮膚の創傷治癒に関連して、薄切切片標本では得られなかった新規の知見が得られると考えられる。これまで当科において確立した胎仔手術の技術を応用し、平成27年度はホールマウント染色標本を作製し、胎齢ごとにその共通点と相違について比較検討した。血管や神経の正常発達過程の検討、ホールマウント染色標本作製の条件検討目的で胎生11.5日目以降のマウス胎仔皮膚の標本作製を行ったところ、血管神経束が胎生11.5日目頃に深部から側胸部皮膚へ進入し、以後皮膚・皮下組織内で水平方向へ拡がりネットワーク構造を形成することが分かった。血管および神経の先進部がほぼ一致していたことから、両者のネットワーク形成には共通の誘導因子が存在することが示唆された。また、胎生13.5日目の胎仔皮膚創部組織のホールマウント染色標本を作製し解析したところ、創底部には球形・小型のマクロファージと考えられる細胞が多数集積すること、皮下深部の血管においてfilopodia形成を伴う発芽による血管新生が起こり創傷治癒過程が進行することが示唆された。以上のように、ホールマウント染色標本を作製することによって、従来評価困難であった血管など脈管構造の解析が可能であることが示された。今後は胎齢ごとに治癒様式がどのように変化するか、また特定の遺伝子改変マウスにおいて治癒過程がどのように変化するかについて検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに概ね進展している。平成28年度も計画に従い研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果を踏まえ、今後も当初計画通りに研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
組織標本作製の条件検討に時間と手間を要したため、当初計画よりも購入する実験動物や実験試薬の数が減ったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、平成27年度に得られた予備的知見の信憑性を高めるために、実験の回数を重ねる必要がある。それに伴って購入する実験動物や試薬が増加することが予想される。次年度使用額はこれらに充当する計画である。
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