2015 Fiscal Year Research-status Report
線溶系の制御による脳動脈瘤発生および破裂予防法の検討
Project/Area Number |
15K20338
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
木村 哲朗 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (00467250)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / 動物モデル / 線溶系 / プラスミノーゲン / トラネキサム酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究グループはマウス脳動脈瘤モデルを用いて、薬理学的な脳動脈瘤破裂予防を目指している。 脳動脈瘤においては、炎症細胞の浸潤およびECMの分解亢進がその進行に関与している事が近年の研究により明らかになっている。プラスミノーゲン‐プラスミンを主体とする線溶系は血管内血栓溶解のみならず、炎症や癌の浸潤・転移、動脈硬化など血管外においても重要な役割を示すことが知られており、特に血管リモデリングへの関与が近年明らかとなってきた。線溶系を抑制することで、ECM劣化の程度が減少し、マクロファージや平滑筋細胞の脳動脈瘤への浸潤を減らす事ができると考えられ、脳動脈瘤の発生及び破裂の予防につながる可能性がある。 本年度はマウス脳動脈瘤モデルに対してトラネキサム酸を投与し、抗線溶作用による脳動脈瘤の発生・破裂予防の検討を行った。過去の他研究を参照しトラネキサム酸投与(経口および腹腔内投与)を行ったが、投与後に早期死亡が相次いだ。今回用いたマウスモデルでは脳基底槽にエラスターゼを注入し、薬剤誘発性高血圧を加えていることから、これらの侵襲により、トラネキサム酸の安全域に変化が生じている可能性が考えられた。現在、海外研究協力者ともディスカッションを行いながら、安全投与量を検討するとともに脳動脈瘤への影響の研究を進めている。
上記研究と並行して、1:脳動脈瘤が破裂したマウスにおける麻酔の安全性を高めるために、必要最小限の麻酔濃度を定量し、学会発表を行った。2:脳動脈瘤の破裂をより確実に判断する手法の確立を行った。3テスラMRI装置と小型サドルコイルを用い、撮影方法を工夫したところ、MRAを用いて脳動脈瘤を、T2強調画像でくも膜下出血を非侵襲的に抽出することに成功し、論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3テスラMRI装置と小型サドルコイルを用い、撮影方法を工夫したところ、MRAを用いて脳動脈瘤を、T2強調画像でくも膜下出血を非侵襲的に抽出することに成功した。この内容に関する論文発表を行ったことは、本年度の重要な成果である。線溶系の制御に関しては、海外研究者と連携したトラネキサム酸投与による影響の検討が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本題に並行して行った脳動脈瘤、くも膜下出血の非侵襲的診断法については一定の成果を得た。今後はトラネキサム酸投与による影響の検討を進めると共に、次年度研究課題である、プラスミノーゲン欠損・活性化マウス等を用いて、研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究はおおむね順調に推移しているが、トラネキサム酸投与の研究を先行させ、また並行して行った課題もあったため、ごく一部に遅滞がみられる。そのため、残余額が生じたと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、本年度の研究継続に加えて、遺伝子改変マウスを用いた研究を加速させ、未使用分を活用することを計画している。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Successful serial imaging of the mouse cerebral arteries using conventional 3-T magnetic resonance imaging2015
Author(s)
H Makino, K Hokamura, T Natsume, T Kimura, Y Kamio, Y Magata, H Namba, T Katoh, S Sato, T Hashimoto, K Umemura
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Journal Title
Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism
Volume: 35
Pages: 1523-1527
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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