2015 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫受容体発現のパターン解析による発熱の新規鑑別法の開発
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15K20346
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田島 吾郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00437427)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自然免疫受容体 / 発熱 / 全身性炎症 / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は病原体センサーである自然免疫受容体(pattern recognition receptors:PRRs)の発現パターンに基づいた発熱の新規鑑別法(原因別分類)を開発することで、以下3点に従って研究を進めている。【1】マウス各種炎症モデルにおける血中のPRRsの遺伝子、蛋白発現を経時的な変化を測定する。【2】原因疾患別にPRRsの発現をレーダーチャート表示し発現パターンを明らかにする。【3】集中治療中の発熱患者において末梢血中のPRRsの遺伝子、蛋白発現を測定し、パターン分類、解析を行う。平成27年度は、動物実験においてはマウス盲腸結紮穿刺(Cecal Ligation and puncture: CLP)と体表面積20%の三度熱傷(Burn)モデルを用い、Sham, CLP, Burnの3群で、受傷24時間後に全血よりtotal RNAを抽出し、定量RT-PCRにより自然免疫受容体(TLR2, TLR4, TLR9, NLRP3, RIG-I)の遺伝子発現を測定した。TLR2,TLR4,NLRP3の発現はCLP、Burnにおいて有意に上昇しており、TLR9の発現はCLPにおいてSham, Burnより有意に低下していた。遺伝子発現のパターンを比較するため、各受容体の遺伝子発現量を相対値としてレーダーチャート表示すると、各群で特徴的な遺伝子発現パターンを示した。またレーダーチャートの領域の面積比をbacterial infection index (BI)と定義して比較したところ、BIはCLPでSham, Burnより有意に高く、1.0をカットオフ値として感染性の炎症を判別することができた。本結果については2016年のアメリカ外傷外科学会で発表が決まっている。現在は経時的な遺伝子発現の変化とフローサイトメーターでの蛋白発現について測定中である。また、臨床検体を用いた研究においては、発熱患者においてはSIRS、DICを中心とした全身性の炎症反応の基礎的なデータ、病態を解析しており、その結果を踏まえて、今後は患者白血球における自然免疫受容体の発現とそのパターンを測定、解析して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験においては、アレルギー、ウイルス感染モデルなどのモデルでの測定ができていないことと、自然免疫受容体の細胞内染色の手技が十分に安定していないことが現時点での問題である。原因としては遺伝子組み換え動物の導入の遅延していることと、細胞の固定、細胞内染色のための膜の処理、染色時間などの手技的な問題である可能性が考えられるが、抗体自体を変更する必要もあると考えられる。また、臨床検体を用いた研究では院内の倫理委員会の承認を得るまでに時間がかかり、健常人、発熱患者検体ともに集まっていないことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子発現については、アレルギー、ウイルス感染モデルも加えて、さらに経時的な変化を測定して、病態に特異的なパターンを同定していく。また、自然免疫受容体の細胞内染色が十分に安定していないため、技術的な問題がないかを、別実験を設けて染色方法について、固定時間、方法、試薬、抗体濃度、反応時間を変えて検証する。また、発熱患者の末梢血白血球での自然免疫受容体発現を測定して、動物実験結果とも比較しつつ、その発現パターンを評価する。
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Causes of Carryover |
動物実験については、アレルギー、ウイルス感染モデルの導入が遅れたことと、自然免疫受容体の細胞内染色が十分に安定していないために研究が予定通りに進行せず、試薬、抗体、動物などの購入にも遅れが生じた結果、次年度使用額が生じた。また、臨床検体を用いた研究では院内の倫理委員会の承認を得るまでに時間がかかり、健常人、発熱患者検体ともに集まっていなかったため予定の研究への着手が遅れて、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分についてはモデル動物の導入と、FACS用に細胞染色の試薬、抗体、PCR用キット、プライマーを中心に使用する予定である。また、現在の問題点を解決していくため予定していた分に加えて新たな実験が必要となるため、そのための試薬、抗体にも使用する。さらに現在得られている結果について、国内外の学会での発表が決まっているため成果発表の費用に使用する。
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Research Products
(1 results)