2015 Fiscal Year Research-status Report
修復象牙質形成過程におけるオステオポンチンの役割の解明
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15K20359
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
斎藤 浩太郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10733719)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 象牙芽細胞 / オステオポンチン / Ⅰ型コラーゲン / 窩洞形成 / 修復象牙質 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、オステオポンチン(OPN)の修復象牙質形成過程における役割を検索した。生後5週齢野生型およびOpn 遺伝子欠損(KO)マウスの上顎第一臼歯近心部に窩洞を形成した。抗nestin、抗OPN、抗DSP、抗I型コラーゲン、抗integrin αvβ3免疫組織化学、Opn、col1a1、Dsppのin situハイブリダイゼーションを行った。また、リコンビナントOPN(rOPN)を用いて象牙質・歯髄複合体のin vitro器官培養を行った。術後1日では、野生型およびOpn KOマウスにおいて、窩洞直下の象牙芽細胞に変性像が認められ、nestin陽性反応が消失していた。術後3日には象牙芽細胞様細胞が歯髄・象牙質界面に配列し、nestin陽性反応を示していた。野生型マウスでは、窩洞直下の歯髄細胞にOpnを強く発現する細胞が認められ、石灰化前線にOPN陽性反応が認められた。術後14日では、窩洞直下に修復象牙質形成が、髄床底側に反応象牙質形成が認められ、象牙芽細胞様細胞にDspp, col1a1の発現、DSP、I型コラーゲン、integrin αvβ3陽性反応が認められた。一方、KOマウスでは、術後14日において、髄角部で修復象牙質形成が阻害されており、象牙芽細胞様細胞に、Dspp/DSP, integrin αvβ3の発現が認められたものの、I型コラーゲン、col1a1の発現が認められなかった。象牙質・歯髄複合体の器官培養7日では、KOマウスにおいて、象牙芽細胞様細胞にcol1a1の発現が認められなかったが、rOPN投与群ではcol1a1の発現がレスキューされていた。以上より、歯の窩洞形成後の歯髄治癒過程において、石灰化前線へのOPNの沈着が、新たに分化した象牙芽細胞様細胞のI型コラーゲン形成、すなわち修復象牙質形成に必須の因子であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では、修復象牙質形成過程におけるオステオポンチン(OPN)の役割について、in vivo窩洞形成実験モデルと象牙質・歯髄複合体のin vitro器官培養実験モデルを用いて解析を行った。興味深いことに、Opn遺伝子欠損マウスでは窩洞形成後に修復象牙質形成が阻害されており、また、器官培養系にて、OPNはⅠ型コラーゲンの形成に関与することが示された。これらの知見は歯の損傷後の歯髄治癒機構の解明へ向けて大きく前進させることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Opn遺伝子欠損マウスにおいても、窩洞形成後に象牙芽細胞様細胞の分化が認められ、他の接着タンパク質がOPNの機能を代償している可能性が考えられた。そこで、SIBLINGファミリーに属するdentin matrix protein1(DMP1)などのタンパク質の役割の解析に着手し、歯の損傷後の象牙芽細胞様細胞の分化メカニズムの解明をめざす。
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Causes of Carryover |
年度末の学会の旅費の支払が4月になり、次年度となったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに執行済みであり、4月に支払が完了している
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Research Products
(4 results)