2015 Fiscal Year Research-status Report
FGF23-klotho axisをメディエーターとした骨細胞の機能解析
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15K20363
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血中リン濃度 / αklothoタンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
Fibroblast growth factor 23 (FGF23)は腎臓の近位尿細管で受容体であるFGFr1c/klotho複合体に結合することで、血中のリン・カルシウム濃度の調節に関与している。近年の骨代謝研究ではFGF23-klotho axisによる骨細胞のリン・カルシウムの調節が大きな注目を集めている。申請者は、骨細胞が一度形成された骨基質の石灰化ミネラルの維持・流入を調節する可能性を見出していることから、本研究では、1)骨細胞に対してFGF23-klotho axisが直接作用するのか、2)骨細胞が血中リン濃度を感知し基質ミネラル調整を行うのかを解明する目的でin vivo実験を中心に形態学的に検索することを行った。 目的の達成には、1)骨細胞に対してFGF23/klotho axisが直接作用する可能性、2)骨細胞が血中リン濃度を感知しFGF23産生および基質ミネラル調節を行う可能性について検査する必要があり、上記の研究課題は密接に関係しているため、同時に解析を進めるが、平成27年度の実験計画では、骨組織異常が認められない生後3週前後のkl/klマウスとαklotho-/-マウス、コントロール群の野生型マウスに通常食または低リン食+3%塩酸セベラマー(消化管内のリン吸着材)を与えて、骨組織異常の回復およびαklotho遺伝子ならびにαklotho蛋白の発現上昇の有無を組織化学・透過型電子顕微鏡レベルで解析を行った。 その結果、低リン食+3%塩酸セベラマーを与えたkl/klマウスでは、表現型の改善が認められた。しかし、αklotho-/-マウスでは表現型の改善が認められなかった。つまり、これらのマウスの表現型は血中のリン濃度が直接作用したのではなく、別な経路が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度では、骨組織異常が認められない生後3週前後のkl/klマウスとαklotho-/-マウス、コントロール群の野生型マウスに通常食または低リン食+3%塩酸セベラマー(消化管内のリン吸着材)を与えて、骨組織異常の回復およびαklotho遺伝子ならびにαklotho蛋白の発現上昇の有無を組織化学・透過型電子顕微鏡レベルで解析する予定であったが、低リン食を与えるにあたり、様々な濃度を検討したため実験に少し遅れが出たものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では、骨細胞および骨芽細胞を単離し、αklotho蛋白またはリン濃度容量依存的にFGF23, SOST (sclerostinをコード), DMP-1などの発現変化が生じるか、共焦点レーザー顕微鏡およびreal time PCRにて定量的に解析する予定であるが、平成27年度中に行う予定であった実験を行ったうえで次の課題に取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
細かな物品の端数が残ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越して使用予定。
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