2015 Fiscal Year Research-status Report
骨細胞由来の未知の破骨細胞形成抑制液性因子の同定とその作用機構の解明
Project/Area Number |
15K20366
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
林田 千代美 明海大学, 歯学部, 助教 (40710900)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 骨細胞 / 破骨細胞 / 骨細胞由来破骨細胞形成抑制因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨細胞由来の未知の破骨細胞形成抑制因子を同定し、その分子による破骨細胞形成抑制機構を明らかにすることを目的としている。強靭な骨の大部分は、骨吸収静止状態にあると考えられ、骨吸収静止状態に制御する機構として、骨格中に張り巡らされた骨細胞ネットワークによる監視・統制つまり骨の内部からの、骨細胞による負の破骨細胞制御機構が考えられる。本研究代表者は、骨細胞由来の破骨細胞形成抑制因子のひとつとしてinterferon (IFN) -βを見出し、その過程で、骨細胞由来の未知の破骨細胞形成抑制因子が他にも存在すると示唆された。本研究では、その未知の因子を明らかにすることを目的としている。 IFN-βを同定した研究での株化骨細胞MLO-Y4細胞の培養上清(MLO-Y4-CM)は、10%FBS-αMEMを用いたMLO-Y4-CM(10%FBS-αMEM-Y4-CM)だったが、今回、タンパク質精製実験を行う過程での血清の影響を除去するために、まず無血清のαMEMを用いようと試みた。しかし、無血清では2日の培養期間にMLO-Y4細胞が死滅していくことが確認された。そのため、1.0%FBS-αMEMを用いたMLO-Y4-CMを回収し、このCMに破骨細胞形成抑制作用があるか否か、また、このCMを用いることでIFN-β以外の破骨細胞形成抑制因子を同定していく研究が成立しそうか否か、まず検討することとなった。その結果、1.0%FBS-αMEM-MLO-Y4-CMの破骨細胞形成抑制効果は確認された。しかし、10%FBS-αMEM-Y4-CMと比較して、IFN-β以外の破骨細胞形成抑制因子が存在すると考えられる傾向が、顕著には認められなかった。そのため、タンパク質精製作業は複雑困難にはなるが、10%FBS-αMEM-Y4-CMを用いて目的タンパク質を同定するための実験を進めていくことに決定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年度の計画目標は、株化骨細胞MLO-Y4細胞の培養上清を計50 L回収しタンパク質を分離精製し、目的タンパク質を同定し、タンパク質のアミノ酸配列に対応する遺伝子を明らかにすることであった。しかし、IFN-β以外の破骨細胞形成抑制因子を、タンパク質精製によって同定するための、MLO-Y4細胞の培養条件の決定に、予期せぬ困難が生じたため、当初の計画よりも進行が遅れた。さらに、本研究は、研究代表者のみで行う研究であるが、タンパク質精製のための低温室での実験が研究代表者の体調において危険有害業務と判断されるため、実験が進められないという事態が重なり、当初の計画よりも遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行に最も重要な、MLO-Y4細胞の培養条件は決定できたため、MLO-Y4細胞の培養上清の回収作業を進め、タンパク質精製実験を進めていくことで、研究は進み、初年度提出の研究計画案を進めることで成果は出てくると考えられる。しかし、タンパク質精製のための低温室での実験が研究代表者の体調において危険有害業務と判断され、培養上清の回収作業と予備的な実験以外は進められない現状であること、また、研究代表者が次年度、間もなく産前産後休暇を取得することから、当初の計画より、本研究の進行は遅れると考えられる。しかし、できる研究内容をできる限り推進して行きたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
MLO-Y4細胞の培養条件に問題が生じて研究の進行に遅れが生じたことと、タンパク質精製のための低温室での実験が研究代表者の体調において危険有害業務と判断され低温下の実験を進められない状況であることが重なり、当初の計画から研究の進行が遅れているため、研究の進行状況に合わせて購入を進めていく物品の平成27年度内の購入が減ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者は次年度、間もなく産前産後休暇を取得するため補助事業期間延長承認申請書を提出する予定であり、次年度に使用する額も少なくなると考えられるが、できる研究内容をできる限り推進して行きたいと考えている。研究計画を進めて目的目標を達成していくためには、必ず物品の購入が必要であり、研究成果の発表のためにもその他費用がかかっていく。そのため、現在遅れている研究の分を遂行することで、次年度使用額は順次使用していく計画である。翌年度として請求した助成金も合わせて使用し、計画案に基づいた研究を、順次進めて行く計画である。
|